It's impossible!!√A

□再燃
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≪オビトside≫

ポタポタと液体が落ちる音がする。
頬にそれが落ちているらしい。
誰かに右手を、握られている……?
『……帰ってこい……!絶対、死なせたりなんか、させない……!早く、早く帰ってこい……!』
これまでに聞いたことのない、ひどく悲しげな來の声に瞼を押し上げる。
「(……あぁ、そうか……)」
來は、オレの為に、動いてるんだったか。
そして、オレのうぬぼれでなければ、オレの為に感情を露にしていることも多くて。
左腕をあげて見る。
來の両手に左手が当たった。
ビクッと肩を跳ねさせて來は左目を丸くした。
その表情がまたなんとも可笑しくて。
「……何て顔してるんだ」
と少しだけ笑いながら近づいた頬を撫でて言えば來は
『う、……うるさいな』
目を背けてしまった。
頬を撫でるのを止めないでいると來はそっと手を掴んで少し微笑んで
『……おかえり……』
小さく言った來にオレは
「ただいま」
と言った。
涙を拭ってやる。
……右目は相変わらず、前髪に隠されている。
「(……相変わらず、ふわふわしてる……)……泣いてたのか?」
『べっ……!別に泣いてなどいない!』
「そうか。……残念だな」
『悪かったな』
そっと上に上げて見る。
「ずっと……見ていたのか?」
『なっ、な訳ないだろう……!馬鹿か!(そんなもん、こっちの心臓がもつ訳がない……!殺す気か……!)』
「そうか。……なんなら膝枕でも良かったな」
『ば、馬鹿なことを言うな!』
……、こんな反応するなんてよっぽどだな。
「じゃあなんで目が覚めたらお前がいるんだ?」
『だから……!だから……ほら、最期ぐらいは一人じゃない方がよかろうと思って、だな……』





かあぁぁぁぁあ、と言ってから体に一気に熱が籠った様子を感じ取ったらしい。
オビトが少し怪訝そうに尋ねてきた。
「……?お前熱でも……」
『ないっ!』
「そうか」
額に手を伸ばそうとする気配に驚いて否定しながら手を叩くと來は仮面の紐を結びながら再び舌打ちをする。
『ったく……調子狂うぞ、ほんとに……』
「やはり熱……」
『ねえってば!』
「?そうか……無理はするなよ」
こっ……この小悪魔がぁぁぁあ!
と悶絶しそうになるのを堪えているとオビトは來を不思議そうに見上げていた。
『……なんだ』
「……お前は何でオレにそうまで入れ込むんだ……別に、好きじゃないんだろう?」
『(……オビト、やっぱり私の気持ちまで覗いたのか……?いや、でも、まだ……)……馬鹿なこと言うな。ただ、自分に立てた誓いを守ろうとしただけだ……もう失敗は許されないだろうがな』
「誓い……?」
『……。』
來は小さく呟いた。
『……"何を犠牲にしてでもあなただけは護る"……"あなたが笑顔で歩んでいる未来を掴みとる"……たった、それだけだ』
「!」
『当然、あなたの方が強かろうが、それを嘘にはしたくなかった。これが私の役目で悲願だからな』
「オレの何なんだお前は……」
『弟子であり、部下であり、そして……従者だ。あなたは師匠で、上司で、主人だ。従者(犬)が主人に忠誠を誓うのに理由などあなたは求めるのか』
「……オレのものだと言っていいのか」
『?そうだな。あなたが嫌なら早々に破棄を言い出してくれれば私は早急に立ち去る。そういう関係だ』
立ち上がるとオビトを助け起こすと壁に寄り掛からせた。
『まだ戦争はやってる。もう少し体を安定させてから来た方がいい』
「あれだけやられてオレが黙っていると思うか?」
『いつになく強気だな』
「当たり前だ……だが、まあ……本調子ではないからお前の言うとおり、少し休んでから行く」
オビトを壁際に座らせると立ち上がった。
『(ーーーマダラと、決着をつけねばならない)』
先程の位置を思い浮かべながら左眼にチャクラを集中させる。
着地するとマダラが少し離れた位置にいた。
「最期の別れは済ませたか?」
『お前の探し物はこれだろ』
來はいいながら2つの小さな球体のようなものを取り出した。
輪廻眼だ。
「!それはオレのものだ!返せ!」
『返してもかまわないが話をしよう』
「ほう……」
『下手なことをすれば潰す。……だが、そうだな、横柄なのは良くない。1つ返してやる代わりに話を聞いてくれ』
「くっ……良かろう」
マダラが歯噛みをしたのがわかって、來は眼球を1つ投げるとどう説明しようかと考えながらゆっくりと話し出した。
『……いいか、貴方は騙されている。これからも騙され続けるつもりか』
「何の話だ」
『幻術なんかでは、何も始まらない。全て仕組まれたことなんだ』
「オレのしてきたことは全て無駄だったと言いたいのか」
『その通りだ』
「……。(イラッ
もう誰にも止められん……オレは計画を遂行するのだ」
『何、引き止めて欲しいのか?別に一言も引き止めたいなんて言ってないぞ?』
「……。(イライラッ
端から計画の邪魔をするつもりだろう?」
『うん』
「……、要するにオレの計画を台無しにすると」
『さっきからそう言っているだろう。やはりボケたか?難聴か?』
「貴っ様ぁぁぁあ!」
どうやら怒らせてしまったようだ。
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