It's impossible!!√A

□再燃
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『(私は、死んだのだろうか……あれだけ言っておいて、ざまあないな)……?』
ふと意識が戻った。
辺りは色という色のない世界で、霧ばかりだ。
まるで、心象世界の中のような……だが、あまりに殺風景すぎる。
「気がついたか」
掛けられた声に意識を向けると空中にあぐらをかく老人がいた。
『……これは驚いた。六道仙人か』
「いかにも」
『その様子じゃ、私が何者なのか知ってるっぽいな』
「まあの。お前はこの世界にはもともと在るべきではない、異質な存在」
『まあな』
「だが……ワシの子孫でもある。不思議ではあるがの。ちと話をしてもいいか?」
『拒否権なんてないんだろ。聞くよ』
「……この世界はひとつではなく……色んな世界がある」
『?』
「元の世界、という一つの世界を媒体にした数多の者によって幾つも似て非なる世界が構成されておるのだ。……この世界はその一つにすぎん」
『……なるほどね』
パラレルワールド……平行世界か。
確かに、心当たりならいくらでもある。
自分が今までどれほど……。
『……もしかして』
ふと思い当たる節があって六道仙人を見上げる。
『もしかして、これは私が作った世界かもしれないのか』
「肯定も否定もできん。ワシにも分からぬことだ。……だが」
『?』
「お前のような者ならば、物語の紡ぎ手にはなろう。より良い物語を紡いでみせよ」
『そう簡単には言うけどなあ……』
「物語の紡ぎ手の認識は大切じゃ。……強い信念が物語を良いものへと紡ぐのだ。お主ならばできる」
『……わかった、やってはみる。やってはみるけどさ、……これでどうにもなんなかったら、恨むからな』
六道仙人は少し笑った。
「先に言った通り、物語の紡ぎ手である、という認識が必要なのだ。お主ならばそれができる。さあ、そろそろ行くがいい……プレゼントはしてやった。……お主もわかってはいると思うが……もう、時間がないのだ」
その言葉に來は笑った。
『まあ、そうだな。……"運命は自分で切り開くもの"、だからな』
「うむ。よう言った。あと、残り少ないのだ。仲睦まじくするのだぞ」
『あ、待って』
「何じゃ?」
『私が……私が、この世界を繰り返したのも、貴方の意思によるものなのか』
「いや。お主とある者の意志によるものじゃ」
來は驚いて目を見開く。
「お主は望んだ。"あの男が報われた世界を見てみたい"と、そう望んだ。どれだけ傷つけられても、どれだけ絶望して、己を殺そうとも、その望みだけは捨てなかった。同じようなことを思った者もおったのだ。故に、お主は何度も世界を繰り返した」
その言葉を皮切りに目が開く。
気絶したのは一瞬だったらしい。
ガッと焦点を目の前の敵に合わせるとどうやら自分は求道玉の拘束から解かれ、地面に落ちているようだと把握した。
着地と同時に右手の拳銃のスライド部を噛み引くと銃口を向けて姿勢を直す。
「くっ……」
ポタッ、ポタッ、と血を流しこちらを睨み付けるマダラ。
照準を合わせられなかったからか、左腕を掠めた程度だったらしい。
ガクッ、と膝の力が抜けた。
マダラはまた嗤った。
「残念だったな、小娘!もう時間切れだ!」
マダラは飛翔する。
「!月が……!」
イタチの須佐乃乎が来ているのを確認するとオビトに掛けた術を解除する。
「間に合ったか」
『ナイスタイミングだ、イタチ。雷影の雷遁でも吸収して、チャクラを回復させたかったが……まあいい。今頃は夢の中だ。構わん』
完全体須佐乃乎に守られ、月の光を遮られた中でイタチが言った。
「この中なら大丈夫だ。敵は、月に眼を映すのに集中している。少しの間なら休憩しておくのも手だ」
「そうだな。一日中動き回っていたからな」
「では素直に少しでも休みましょうかね」
イタチの言葉に角都と鬼鮫が賛成し、それぞれ陣取っているとオビトが隣に座った。
小さく舌打ちをすると
『説教ならまた後な』
「違う」
『……どうした?』
驚いているとオビトが呆れたように手を差し出した。
「ったく、こんだけボロボロにして……手当てしてやるから貸せ」
『……それだけじゃないだろう。何か話がありそうな顔をしている』
今度はオビトが驚いたように目を瞬かせると小さく呟いた。
「來……お前、どこからどこまで、……計算のうちなんだ……?」
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