It's impossible!!√A

□不変
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「姉さん」
『……もう少しで里だ。ただでさえさっきの店で雑貨かなんか買って時間食ったろ。急ぐぞ』
「でも……」
『もうその呼び名はやめろ。……まあ、久々で、嬉しかったのは事実だが』
振り返れば、少し泣きそうにしている。
來は小さくため息を吐くと少し困ったように笑って真の頭を撫でる。
門の前に何人か立っているのがわかって、オビトとイタチが前を進んだ。
『ありがとな。ちゃんと、生きていくんだぞ』
「姉さん……」
『……またな』
來は真に背を向けた。
「他の忍はどうした?」
「オレ達に恨みがあったらしくてな。里を裏切ってでもオレ達を殺そうとしてきたぞ」
『詳しくはそいつに訊くといい。奴らは私達と直接の関係はないそいつも殺そうとしていた』
「……本当か?」
「あぁ。間違いない」
「オレ達は罪人だからな。仕方がないとはいえ……」
「オレ達がそいつらを殺したって結局ここに戻ってくる意味がない。イタチの言った通り、罪人であることに変わりはない」
「……」
物思いに耽る忍に來は待ちきれず声をあげた。
『任務は終わった。早く投獄しろ、殺されたくないならな』
「あ、あぁ……連れていくぞ」
イタチ、オビト、來の順で二人の忍につかれながら歩き出す。
「ま、待って!待って、くれ」
來は真を振り返らず、立ち止まるとため息混じりに言った。
『もう、"護衛対象"じゃないぞ』
「これ……!」
『……?』
真によって投げられたのは黒い眼帯だった。
ぱしっ
『何のつもりだ?』
「さっき、買った……!……っ、ありがとう……!」
『……お礼なんて言わなくていい。……任務だからな』
來は今度こそ真を背に歩いていく。
「(……姉さん……)」
今度こそ、永久の別れではないのか。
そんな思いが拭いきれない、真は眼鏡越しに遠のく來を見続ける。
「……え」
來についていた忍は小さく驚きの声をあげた。
來は、静かに泣いていた。
頬を伝った涙を拭うと眼帯をつけた。
『(真が、もし……こんな私でも姉だと……ほんとに思ってくれてるなら)』
來は前を見据えた。
『(これを、今生の別れになど……させられないな)』
今度こそは、真にとっての良い姉であれるように。
マイナスからのスタートでもいい、その思いが本物ならば、私も応えるまでだ。這い上がってみせる。
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