It's impossible!!√A

□灼熱
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硬い金属音が鳴った。
それは蛇神の振り下ろした刀が飛んできた黒い短刀によって弾かれた音だった。
「《なにっ……!?》」
さらに刀は有り得ない方へと飛んでいき見えなくなってしまった。
『危なかった……ありがとうな、オビト』
「《な、何故だ……?何故時は止まっていたのに動いたというのです!?》」
『簡単な話だ。制限範囲も時間もある能力だ』
來は蛇神に近づく。
「《止まれ!》」
何かが空を切った。
蛇神の足元に一振りの剣が降り注いで地面に突き刺さる。
「《ヒッ》」
頬を掠めた銀に怯む蛇神に來は動き出した空間を歩む。
『怯むと万華鏡写輪眼を制御出来なくなるのは当たり前だ。神と人間とは違うのだから。お前は弟でもないし、うちはの者でもない』
「《ち、近寄るな!来ないで!》」
來が進む分、蛇神は後退する。
『《休むのは貴様の方だ》』
後ずさった蛇神の足元に術式が広がる。
声を上げる間もなく身体の自由を奪った來はカンナカムイに替わった。
『《……お前の暴走は儂が渡していない権能があったからであろう。それさえあればお前ももっと……》』
カンナカムイは蛇神の頭に手を置くと目を閉じた。
『《封印術・神鳴之壺》』
青い空を裂いて雷が落ちる。
「う、うーん……」
目を回している真の傍らにまだパチパチと放電する壺があった。
『《儂の社へ戻るがいい。しばらく儂の代わりにあの杜を守っていてくれ》』
壺はひとりでに宙を駆けてどこかへ行ってしまった。
『……はあ……』
來は盛大にため息を吐くとその場に崩れ落ちた。
「大丈夫か!」
『あぁ……大丈夫だ。まさかこんなに苦戦するとはな』
來は木々に張り巡らせてある自分の術式を見る。
『オビトが気付いてくれなければ使うつもりだったが……杞憂だったか』
「何度お前と戦ってきたと思ってるんだ。例えお前に策があろうとも追いかけるに決まってる」
『そうか』
來が横に伸ばした右手に真の刀が戻ってきた。
「よくやるな。短剣で弾きながら術を掛けていたとは」
『元々は龍神の力だからな。神の力に私は及ばない』
真がゆっくりと目を開いた。
「……姉さん?」
『大丈夫か』
「……なに、どうなったんだ?蛇のやつは?」
『封印した。お前の中にはお前しかいないから安心しろ』
「良かった……」
『改めてお前の万華鏡写輪眼……恐ろしい能力だな』
「そういえば真。お前の能力……《時を止める》能力ではないだろう?」
「え、そうなの?」
『そうだ。《時を止める》と言ったな。あれは嘘だ。騙して悪かったな』
「は?いつから気付いてたんだ?」
『初めてお前が私とヒナノの前で止めたことがあっただろう。あの時私は意識があったんだ。逆にそこで何があったのかわからなかったと言ったヒナノに蛇が憑いていると気付いた』
「は!?なら言えよ!でもそれなら姉さんのしてたあの血痕のやつは?空中に静止してたっていうのを見たから言ったんじゃないのか?」
『たしかに静止はしてたな。そして動き出した。お前の能力は《時を止める》能力ではない。《空間に固定する》能力だ』
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