It's impossible!!√A

□殷雷
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「で、ラーメンって言ってもどこ行くつもりなんだ」
『一楽』
「お前ラーメン好きだよな……今度作ってやろうか」
『オビトの料理で一番好きなの、魯肉飯(ルーローハン)だけどな』
「いやあれありあわせで作っただけなんだが」
『主夫力……』
「主夫言うな」
屋台には先客がいた。これは、もしかしなくても。
くるりと振り返った先客があ、と声を上げる。
「オビトと來じゃねえか!久しぶりだってばよ!」
「こんばんは」
隣に座るヒナタが軽く会釈する。
『……私が言うのもなんだがデートでラーメンって、大丈夫なのか』
「わたしラーメン好きなので、大丈夫ですよ」
「二人とも元気そうだな!てか付き合ってんの?」
「なんだ、悪いのか」
「全然!あ、オレってばあの【今日は暁】、あれ見てんだけどさ。面白えな!」
「やめろ」
「あ、あ、わたしも見てますよ」
『元は悪ふざけがあれよあれよといつのまにかあんな風になってたんだよな……』
「オレさ、暁の奴らでもふざける時はすっげえふざけられんだなーって思いながら見てんだよな。お色気の術とかも効くんかな?」
「いや効くだろそりゃ。人間だもの」
『相田み○をか?』
「強い奴ほど効くはずなんだよなー」
『試してみればいいだろう』
「待て何でオレを押す來おい」
『オビトは犠牲になったのだ……犠牲の、犠牲にな……』
「今まさに犠牲にされようとしているんだが?」
「お色気の術!」
ボンッ!と金髪ツインテールの美少女と化したナルトがオビトにしなだれ掛かる。ヒナタは小さく声を上げて両手で顔を覆った。いや止めろよ。
「……で?」
「いやなんだよその冷えた目!?大戦時の目かサスケの育ててたトマトサクラちゃんにもらった後みたいな目になってるってばよ!?」
「サスケの奴トマト育ててんの??いや、そろそろやめた方がお前の身のためだぞ」
『……。』
來は無感情な目でナルトを見ていた。硝子玉のように綺麗なのに底冷えする目である。
「待って、來じゃないから効かなかったんだよな?じゃあ來に変化」
「あ、いや待てそれは」
ボンッ!と再度煙が晴れるとコートを肌けた來がきゅるるん♡とオビトを見上げていた。コートの下には何もつけていない。
オビトはナルトの前にしゃがみ込む。
効果は絶大だ、と笑うナルトの顎をガシッと掴むと
オレの來がそんなことする訳ねえだろ?^^
「ひっ!?」
「あと胸盛りすぎな」
ゴッ
『何か言ったか』
「何でも無いッス……」
『ナルト、お前も悪ふざけは大概にしておけよ。ラーメン延びるぞ』
「あ、もうできた?」
「ちょーっと待ってな!」
テウチの言葉にナルトはオビトに耳打ちした。
「なあなあオビト」
「んだよ」
「いやさ、來に効くと思う?」
「いや効かんだろ。てか他の男の逸物とか見せたらお前マジで幻術かけて拷問しまくるからな」
「しれっと怖えこと言ったな!?じゃあパンツはするか」
「上裸ぐらいなら構わん」
『さっきからお前たちは何をコソコソと……』
「お色気!逆ハーレムの術!」
ボボボンッ!
色とりどり、選り取り見取りな上裸イケメン達に囲まれる來。
数秒の無表情の後
『……チッ』
「え、舌打ち!?」
「だから効かんだろうと言ったんだ」
「そうだ、オビト!」
「は?お前なに……、おい!服を剥ごうとするな!ナルト、おま、おい!」
どこかでガッタァ!と椅子のひっくり返る音がした。
『……ヒナタ、お前あれよく許せるな』
「ナルトくん……全力でふざけられるのって凄くないですか?わたしはそういうとこも大好きです」
『いやそれならいいんだけど』
ナルトに引っ張り出されたオビトは上裸のままため息をつきながら來の隣に座る。
『ッ!』
勢いよく顔を逸らした來を見て二人は顔を見合わせてからニヤ……とどこか似たような笑顔を溢す。
「なあどうしたんだってばよ、來」
「オレの上裸がそんなに恥ずかしいのか?ん?」
『別にそういうのじゃない』
「じゃあなんだ?何でそんなに顔を逸らす……こちらを向け」
『嫌だから顔を逸らしているのがわからんのか』
「そう恥ずかしがるな。上裸ぐらいいつも見ているだろう」
『この下りつい1ページ前にやったよな??』
來の小さな顎を捕らえて顔を見ると意外と無表情である。なんなら虚無。(・-・)スンッ…
『こっち、見んな』
「……そんなに恥ずかしがられるとこっちが照れるんだが」
「いやどう見ても照れてねーってばよ??」
『服を着ろ服を……別に、恥ずかしいとかじゃない、ラーメン溢したら熱そうだなとかだ』
「待てオレの來が今日もやっぱり可愛い」
「いや効いてねーってばよ!?」
『楽しそうで何よりだ』
不貞腐れたように頬杖をついてナルト達から顔を背ける。
『(他の奴にオビトの上裸見せるとか……そっちのがハードル高いだろう……)』
「てかオビトってやっぱりチン○デカそう」
「何なんだ突然」
咽せた來の背中を襟を正しながら摩るオビトにナルトは続ける。
「いやパンツが、『それ以上抜かすと貴様の脳天をぶち抜くぞ』うわ怖っ!?」
「ら、來さん……!すみません!ナルトくん!流石にそんなこと言っちゃダメだよ!」
「……まあ、デカい部類には入るだろうな」
『嘘だろオビトお前乗るなよ』
「ただの男の話だろう?別にそれぐらいならな」
『あー、思春期を拗らせてたのがここで……』
そう、オビトは貴重な思春期がなんやかんやでアレだったので実はこういった話なんてする機会がなかった結果、色々と拗らせたのである(例:來に対するストーカー行為、激重感情等々)
男子高校生的な下ネタ話もその一つなのだ!
『(諸悪の根源が何か言ってる気がする……)』
「ちなみにやっぱり一番好きなとことかあんの?オレはヒナタの「ナルトくん?^^」すみません」
「……強いて言えばしr」
ドゴォッ
「ぐふっ」
『すまんな、うちのが。見苦しかっただろう』
「い、いえ……」
『何かあったら言え。沈めてやる』
「オレもかよ!?」
『敵でもない女を泣かせるような奴は捨ておけん。……まあしっかりと手綱は握っているようだから良いだろうが』
「上手いこと尻に敷かれてるよな」
「オビト!てめーもだろうが!」
「……座るか?」
『何故そうなる。あとラーメンで二人羽織とか事故しか起こらんだろ』
「オレも言えんだろうがな。よく振り回されている」
『こちらがむしろ振り回されているんだが?まったく、手綱を引くのは構わんがふらふらしないでほしいもんだな』
「オレは昔から真っ直ぐ素直に歩けなくてな……」
『ここぞとばかりに名言出すな。……例え手綱を離されようと隣を歩いてやるがな。この通り、私は忠犬だからな。喜べ』
「來って犬だったのか?」
「例えだと思うよ……」
「てかさ、オビト何で來の拳すり抜けねーんだ?2回も食らってんじゃん」
「來が小さな拳でオレに歯向かうなんて可愛いだろう?すり抜けてはもったいな、んんっ!可哀想だろう」
「ほぼ言っちまってるってばよ」
「!……もしかしてドM……?」
「なんだと」
『まあSとMは表裏一体なんて言うが……まさか、な』
「オレは無害なただのうちはオビトだが?」
「嘘つけェ!!おめー大戦中すんげえいい顔でオレらのこと色々抉ってたじゃねーか!!」
「あれは……うん……」
「訂正だ、オレはあくまで暁(あいつら)の首領だからな」
『尋問の時も良い顔してるよな……』
「嗚咽混じりで命乞いしてくるのがなんだか滑稽でな。すげえ楽しい」
「來、何かお前ヤバい奴に捕まってないか?」
「いや來さんもなかなか凄いと思うよ……?」
『何、どこがだ』
「大戦中、血とか見て高笑いしてませんでした?」
『してたな』
「あ、そういや黒ゼツに対しての責めがヤバかったってばよ」
「たしかにあれはすごかったな」
「イタチから聞いたけど黒ゼツ煽って高笑いしながら拷問してたらしいってばよ」
「あれはラスボスだったな……」
《『く、ふ、ふははははははははっ……!どうした。もっと、もっとだ……!苦しめ、そして絶望しろ!醜く啼き喚いてみっともなく許しを乞え……!』》
《『ふ、結構、大いに結構だ……!さあ次だ!次はどうする!?次はどうやって私に抗う!さあ絶望と対峙しろ、意気地無し!這い上がってみせろ!褒美に奈落の底まで叩き落としてやろう……!』》
オビトはあの鬼の表情を思い出して一つ身震いをした。
なかなか、アレな光景だった。
表情は非常に良い、だがあんなこと絶対されたくない。流石に怖すぎる。
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