It's impossible!!√A

□放浪
9ページ/9ページ

『で、何で逆上せるまで入っちゃうんだ?』
呆れたように言いながらも來は膝枕の上に乗っかっているオビトに緩くうちわで扇いでやっている。
「だって……來の……残り湯……」
『言い方もあれだが、原因がくだらなさすぎる』
「さすがに飲めなかった……(´・ω・`)」
『可愛いがそんな顔してもダメだからな。言ってることかなり逝ってるの自覚あるか?』
「イってる……!?」
『悪い、今のは私の言葉選びがあれだったな、すまん』
隙あらば下ネタに走りがちなのはやはり新婚旅行だからなのだろうか、と思いながらふと來が呟く。
『……熱中症にもなっていたしやっぱり暑いのダメなのかもな』
「冬生まれだからな……」
『その割にあの格好はな……もうちょっと自分を大事にしろ、馬鹿』
「んなこと言われてもな……」
おおかた、大丈夫だとも思っていなければできないだけに文句ありげに睨む。
『私だって心配になるだろ。それに、……私だって、まだ大事にされたい』
「大事にするに決まっているだろう?何を当たり前のこと言ってるんだ」
『……悪かった、婉曲しないで素直に言う。……長生きしてほしいんだ。体を壊さないでほしい。弱っているところは私にしか見せないでほしい。……私が、最期まで、見送るから、どうか……どうか……最期まで、私を愛していてほしい。愛させてくれ』
ぽた、ぽた、と目から零れた涙に少し微笑むとオビトは頬を拭ってやる。
「……本当に、泣き虫なんだな、お前は……」
『……うるさい』
「泣いてる顔も可愛いがな。……だが泣かせ続けるのは、嫌だな」
むく、と体を起こすとオビトは來に軽く口づける。
『、』
「ふ、驚いてるな。お前もやはり“うちは”だな……他の奴からすれば重いなんて思われてしまうぞ?……まあ、もっとも、他の奴に目移りするとは思えんし……お前を他の奴なんぞには渡すつもりなど毛頭ないがな……お前はオレだけを愛していればいい……あぁ、子供もか?」
『……馬鹿、当たり前だろ。……あと、気が早い』
「そうか?」
頬を指でなぞりながら小首を傾げるオビトに來は唇をキュッと引き結んだ。
『(わ、私が、しっかりしないと……!)』
「なんかずっとそんなこと言い続けそうだよな、來」
『……私は、二人で居たい、からな』
オビトが目を見張る。
『だって、ほら、子供、できちゃったら、……しばらく忙しくて、オビト、二人の時間欲しいって言い出しそうだし』
「……お前今ナチュラルにオレが子供の世話しなさそうって言ったか?」
『言ってない』
「あのな、たしかに子供には好かれんぞ、オレは。でもオレ達の子供に対してそんなこと通用するか?」
『ひどくずる賢くて、頭が変に回って、馬鹿みたいに体力があって、恋したらとんでもなく面倒なぐらい相手に迫りそうだな』
「オレのことそんな風に思ってたのか??」
『……そのくせ、優しすぎて、相手に甘えまくったりもする分、遠ざかろうとしてる相手でも心を解かして甘やかせる、不思議な奴。……あと、逃がしてくれない、執着心がすごい』
「自分の妻を囲うことぐらい別に問題ないだろう?……お前は逆にオレのことを束縛したりしないのか?」
『なんだ、その言い方じゃしてほしいみたいに聞こえるぞ?』
「……たまに、“私の”とか言ってくれるが、普段なかなかないだろ」
『だって、見苦しいだろ。君のことを窮屈に縛り上げたくはない』
「オレちょっとそういうプレイは」
『私にだって無いが?』
「だよな、良かった」
『……束縛、してほしいのか……?』
「ん、いいぞ」
『……、なら、遠慮なくするが……』
ほんとにいいのか?とオビトを見つめる來の視線にオビトは両目を押さえる。
「いいって言っているだろう?……甘え慣れてない來が可愛すぎる……!」
『む、ぅ……』
小さく唸ると頭を擦り寄せる來を撫でる。
「ほんとにちっちゃい……天使……」
『……(むぎゅーっ』
無言でくっつく來。
出来心から來の両脇を抱えて離そうと抱き上げるものの
『……(ひしっ…』
「んふふwww」
『何笑ってるんだ』
「なんかナマケモノを木から引っ剥がそうとしてる時ってこんな感じなのかと思って」
『怒るぞ』
グルル、と唸る來の顎前に親指と人差し指だけを立てた手を見せる。
『……。』
「……(わくわく」
『……はあ』
顎を乗せた來に感動しているオビトに対してぼやく。
『……楽しいか……?』
「めっちゃ楽しい」
『そのうちボールか枝投げて取ってこいとか言い出しそうだな』
「やらねえよ」
次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ