暁と明けの明星

□買い物
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暁荘で暮らし始めて初めて学校に来た。
もちろん登下校は暁メンバーと一緒だ。
「はい、星羅さんの分のお弁当です」
鬼鮫が丁寧に包んだ弁当箱を渡す。
『すご…よくこんなに一人で作れたね…』
「まあ、慣れたら簡単ですよ」
『…そういうもの?』
星羅が首を傾げているとペインが来て言った。
「お前ら急げよ〜みんなもう待ってるから」
『あ、うん!!』
玄関を出ると何だかいつもより朝が爽やかに感じた。
「んでさ、星羅の…その、何だったか忘れたけど血継限界の術って触った人の過去が見えるんだよな?」
『え?うん…』
「何でそんな重要なこと、黙ってたんだ?」
『…小さい頃はよくわかんなかったから結構そういうの、他の人に言ってたんだけどさ…過去を言い当てられるのって誰でも嫌でしょ?だからなるべく避けてたんだ…』
「なるほどねー…」
「確カニソウカモシレナイナ…」
「まあ暁メンバーには何でも遠慮しないでいいからね?」
『…ありがと。初めてそんなの言われた』
「ま、暁メンバーの中ではっきりした肉親を持つのはデイダラとイタチ、サソリぐらいだからな…」
『(あれ、トビは?)』
言葉を濁すペインに星羅は少しだけトビについて
『(昨日初めて見たあの元気そうな人に何かあったのかな…?)』
そう思っていると他の暁メンバーとの集合場所である、暁荘の近くのコンビニまで来ていた。
「星羅が何でみんなと一緒にいるんだ、うん!?」
「デイダラと何で一緒に来ていないかと思えば…」
「あ、もしかして先輩方の誰か、星羅さんを攫ったとかッスか!?」
「星羅、誰に攫われたんだ!?」
まだ何も知らない4人に慌てて説明する。
『ちょ、違うよ!歩きながら話すよ』





校門に着いた頃には既に話し終わっていた。
「そ、そうだったのか…うん」
「ま、そうだろうな、わかってはいた」
「お前滅茶苦茶疑ってたじゃねぇか」
「あ、ってことは僕と同期の暁メンバーってことッスか!?」
『…そういうことになり…ますかね』
「席も隣ですし…よろしくッス!!」
『…はい』
それでも警戒は解かない。
『(あの仮面に隠されているのは…偽善者かもしれない)』
今までの経験からどうしても人を信用しきって心から笑うことができない。
『(やっぱりなんかなぁ…)』
授業が始まっても考えている星羅はふとトビの机が自分に近く、トビの仮面に開いている穴がこちらを向いていることに気づいた。
「………」
『………』
しばらく二人の視線が空中で交錯する。
『……何見てるんですか』
警戒しているのが自分でもわかるくらい、冷たい言葉が口から放たれた。
一瞬オビトの鋭い視線を感じた…ような後あはははっ、と笑いながらトビが口を開いた。
「星羅さん、ずーっと俺が呼んでるのに前を見たまま、ぼうっとしてるんですもん。で、何となく」
『…何で呼んでたんですか』
「俺、今まで居なかったんで授業の受け方とかいまいちわかんないッスよね…だから星羅さんにちょっとお手本を見せてもらおうと思って」
いいッスか?と星羅に言うトビを見てようやく
『…ノート見せるので写せばいいじゃないですか』
スッとノートを二人の机の間に置く。
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