shadow in the dark


□拷問
1ページ/3ページ

《さあ、早く!》
《俺のことはいいから!……!!》
《………!!》
(何だ…これは…?)
………に引っ張られながらわたしは思った。
ガラガラと岩が落ちてくる。
怖い。
けれど何故………を助けないの?
わたしは何をしているの?
助けてくれた仲間を見捨てるの?
これがこの世界で生きる為のルールなの?
わたしが知っているこの世界は…わたしの心が生んだ悪夢なの?
(それともわたしの心が知っている真実なのか?)





『う…』
(また、見たのか…)
意識を失っていても何らかの罪悪感に襲われる。
(それなのに…何故記憶に残っていないんだ…?)
段々と戻ってくる意識と同時にあることに気付く。
(手足が…動かない…!?)
見ると手足にそれぞれ枷がはめられ、身体がXのようになっている。
動かす度にガシャガシャと音をたてる。
よほどキツくしたのか、凛音のか細い手足から取れそうにはない。
「動かないようにしないと逃げるしな…拘束した」
『………』
「さてと…これが何かわかるか?」
男がちらりと時計を見たあと凛音に近寄り、刀を目の前でちらつかせる。
夜の空に輝く月の光を受けて冷たい輝きを見せる。
『…』
「これは刀だ…拷問ではこう使う…」
スッと肩に近づけようとしたところで扉が開いた。
『…』
現れたのは大きな傷跡を顔に残した男だった。
額当ては
(コイツも木の葉か…)
「早かったですね、イビキさん」
「フン…それよりこんな人形が暁なのか?」
『………』
人形と言われてもいちいち反応しない。
(どうせこの際だ、人形になりきってやる…こういう拷問をするやつはどうせ苦痛に歪む声や表情を生きがいにしているんだしな)
目を開けたまま虚空を力無く見ている。
その目には生気の欠片も、ない。
「返事もしないか…俺なりのはかせ方をしてやる…嫌でもはきたくなるようなやり方でな」
そういうと印を結び、床に手を置く。
「口寄せ 拷問部屋!」
(…拷問…か)
何をされても口は割らないのにな、と密かに凛音は嘲笑した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ