It's impossible!!√O

□let's excited!
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朝ご飯を食べ終わって湯隠れの西の方まで歩くと遊園地が見えた。
「案外でかいな。うん」
「まあ、くだらなくは無いだろうな……」
「私は遊園地に初めて来ました」
「とりあえず中に入ろうか」
団体は安くなるらしい。
角都が嬉しそうに見えるのはわたしの気のせいなのだろうか。
「何に乗る?」
「……メリーゴーランド、かな」
『あ、いいんじゃないですか?』
女子力高い……!
まあ空いてるだろうし、わたしは賛成かな。
「じゃあ行こうか」





『わーお』
メリーゴーランドにはよく小さい子供が乗るようなイメージがあったもののこれはよく小物とかにある絵のようなメルヘンな感じだ。
『……可愛いですね……』
「わたしの想像以上に大人っぽいわ……」
乗る時に係員の人が凄く変な目をしていたことは言わないでおこう。
白馬や羊の間に明らかにカップル用の椅子があった。
……ほむ。
『小南さん、リーダー』
「?何だ?」
『二人で乗ってみてはいかがですか?』
「え?!」
「な、何言ってんだ!?」
『短い間ではありますが二人きりでお過ごし下さい』
この二人が互いを好きであることはわたしでもわかる。
トン、と二人の背を押すと
「〜ッ!!小南、行こう!(恥ずかしいけどオレはヘタレじゃない!)」
「!!(來、気を遣ってくれたのかしら……恥ずかしいけれど)」
リーダーが凄く顔を真っ赤にしながら小南の手を引いて行った。
見送ってから近くの白馬に乗る。
……わたしにもあんな風に愛してくれる人ができればいいな。
そっと白馬に寄りかかって誰にも気付かれないようにため息をついてみた。
ま、無理だわな。
わたしが嘘つきで誰にも愛されることが叶わないことはわたしが一番よく知っている。
とっくに諦めた夢であることもわたしはよく知っている。
だからこそ、わたしはあの二人をほうっておく訳にはいかなかった。
小南とリーダーは幸せそうに笑いあっていた。
わたしの周りで幸せな人が居てくれればそれだけで見ているわたしも十分幸せだ。
あー、やっぱしこういう普通のカップル見てんのが楽しいわ。
……ぼっちに既に慣れきったわたしに幸せなんてものは似合わない。
わたしなんかよりもずっと、ずっと、幸せが似合う人が居るから。
まあ、寄ってくる奴もいないだろうし……そもそも願い下げだ。
それに、きっと、わたしは、人を好きになれない。
好きだと言ってくれる人がいても、選り好みをしてしまうだろう。
だって、ブスに言い寄られてもいい気はしない。
それが外見だけでなく性格や行動までそうなら、なおのこと。てか関わりたくない。
わたしは、人に愛されたいと願い、人を愛したいと思っていると同時に、人と自分を憎んでいる。
相反するそれはきっと、わたしをこれからも蝕み続ける。
『(あぁ……)』
二度と愛される資格などもはやない。
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