It's impossible!!√O

□ I realize that I am falling in love.
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カラン、コロン。
「いらっしゃいませー」
ドアを開けると鈴が可愛らしい音をたてた。
シャンデリアが天井から下がっていてとても可愛いお店だ。
『というか……その……』
「ん?」
『……自分じゃどういうのが似合うかわかんないので……それなら、選んでもらいたい、と言いますか……』
「あー、たしかに、そうかもしれませんね」
『というか、うん、むしろ自分は先輩に買います』
「え、いいんスか?」
『その方が面白いですし。楽しみです』
「そうッスね……じゃあ僕は來さんに買いますね」
なんとなく、自然と笑みがこぼれた。
嬉しい、のかもしれない。
何故かトビの隣は居心地がいい。
トビの近くなら自分の本心と向き合えるような……そんな気がする。
たまにはこんな、ごっこ遊びも楽しい。
『……へっぷち』
夏の暑さと店の中の温度差でくしゃみが出た。





「……はい、これッス」
『中、見てもいいですか?』
「もちろんッス!」
袋から取り出してみると
『……あ』
紅いチャクラ石がチャームトップのペンダントだった。
紅色に澄んだ光を灯している石の両脇には透明なトンボ玉がついている。
これを見て思わずクス、と笑った。
「どうッスか?」
『そうですね……昨日の一件さえなければ抱きついてたかもしれないです』
と少し意地悪のつもりでジトッと見ながら不機嫌そうに言ってみれば
「えぇ!?……気に入ったみたいで嬉しいッスけど……まだ怒ってるんスかあ……?もう許して下さいよお!」
あ、めちゃくちゃ焦ってる。
『ぷっ……ふふっ、冗談ですよ!はい、わたしからです』
どんな反応が帰ってくるんだろう。
「ってこれ、同じじゃないッスか!」
『だから笑えちゃったんです』
そう、わたしがトビに買ったものと同じだったのだ。
トビの表情は相変わらず仮面に隠されていて読めない。
でもその隠された顔が笑顔であるような気がするのはわたしの気のせいだろうか。
そうじゃないと嬉しい。
トビの隣では新しい発見が多い。
わたしの心が浮き彫りになっていくようだ。
……いや、わかってるよ。
ペンダントをつけてお互いの顔を見る。
『どうですか?』
「似合ってますよ!」
『先輩もです』
「ありがとうございます!……僕らって結構似てますね」
『そうですね』
なんとなくそんな感じがしない訳でもない。
「やっぱり來さん、笑ってる顔が可愛いッスよ」
『なんかその言い方じゃわたしがいつもは仏頂面みたいな言い方ですね』
「あ、いや!そういうつもりじゃなくて!」
『いえ、大丈夫ですよ。どうしても笑い続けようとしても、自分でもわかるくらい、笑えてない時、ありますもん。笑顔じゃなきゃ、心配させちゃうかもしれないのに』
「……ねえ、來」
『はい』
「僕、最近悩んでることがあるんですよ。聞いてくれます?」
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