It's impossible!!√O

□I was alone
4ページ/6ページ

「……來……なのか?」
扉を開けて入ってきたオビトにわたしがおかえりー、と言えばオビトは微かに目を見開いて訊いてきた。
『え、見ればわかるでしょ?わたしは双子なんかじゃないし』
「……その、右目に入ってるのは?」
『右目?……眼球のこと?』
「あぁ」
『え、誰のってこと?わたしのだけど……え、何?どうしたの?』
「いや、待て」
『待つよ。待ーつーわーいつまでーも待ーつーわー♪』←全部音同じ
「(・д・)……」
あれ、滑った?
何だろう、オビトがえっ、みたいな感じで、何とも言えない目でこっち見てくるから目反らしちゃったんだけど。
え、あれ、何か変なことしたかな?
「……來で間違えないんだよな……一体何がどうなって……頭でもぶったのか?」
『はあ?ねえほんとどうしたの?わたし何か変なことした?ちょ、頭!スイングしないで!痛いってばあ!?』
「!(びくっ」
驚いたようにパッと頭を離したオビトになんだよもー、とか呟きながらオビトの方を向けば困り果てたような、心配そうな顔をしていた、気がする。
"気がする"というのはオビトの表情は微かに変わっただけで、ほとんど変わらなかったためである。
オビトは確かにさほど表情豊かとは言えないがもう少しあった気がする。
『……なーんか怪しいな?何か隠してる?浮気でもしててはぐらかしてるとかじゃないでしょーねえ?』
「え?」
ムーッと唸りながら近づきオビトの顔を見上げればキョトンとわたしの顔を見下ろすオビト。
『……何、その間抜け面』
「ま、間抜け面!?そんな顔してないだろう!」
『……?』
このオビト、妙に嬉しそうである。依然として無表情だが。
『……浮気してるんだったら早々に言っておいた方がその人の為だと思うんだけど』
「だから違う!」
なんだそれ、とオビトに背を向けベッドに寝転がろうとすればぎゅっと唐突に抱き締められ、どうしたんだろう、と思いながら頭をポンポンすると何故か驚いたのか、勢いをつけて肩を抑えながら離れられてしまった。
『ど、どうしたの?そっちが抱きついてきたくせに』
「あ、いや、えっと……その……」
何故か口籠るオビトから目を離すとふと机に散らばる書類に目が止まる。
こんなもの、さっきおやつ食べる前にオビトの部屋にあっただろうか。
持ってきたにしては随分まとまりがないし、何よりおやつ食べてオビトの部屋にまっすぐ帰って来たわたしがオビトに会ったのはオビトの様子がおかしいこの数秒前が初めてだ。
持ってくる余裕なんてあった訳がないし、それではこの読み散らかした跡というか、とにかく人の手が加わったような跡は説明できない。
一枚手に取る。
抜け忍の資料のようだ。
前にオビトの見せてくれたビンゴブック……手配書よりも詳しく罪状が記されている。
一般人向けの指名手配書だとか、上忍用の手配書とかじゃない。多分これ、もっと上の……例えば警察署とかの資料室に収められたりしてるような類いの書類だ。
『……この書類は?』
「朝からやってた抜け忍関連の奴だ。最近このあたりに出没する抜け忍の特徴から犯人を特定するためにお前も手伝ってくれただろう?」
『……ごめん、ちょっと部屋行くわ』
部屋には確かに何やらそれ関連の書類が散らばっている。抜け忍の特徴らしい内容の付箋も何枚か机の端に貼られている。
それよりも部屋のレイアウトが全然違う。
本棚は無いし、クローゼットの中身も。
『なんだこれ』
黒いコートのような、ジッパーで締めるタイプの上衣の裏地は赭い。
こんな服持ってないぞ。
やはり何かがおかしい。まるで何かがある一点でズレてしまった、よう、な……?
『……。』
オビトの部屋に戻って思わず黙りこくるわたしは唇に右手の人指し指を沿えて軽く握る。
どういうことだ。何かがおかしい。
まるで……。
『……居間に行こう。ちょっと来て』
「え、あ、あぁ……」
がちゃ
居間には鬼鮫とイタチ、角都が居た。
「あ、來さん」
『ちょうどよかった、わたしとオビトのどっちがいつもと違う?はっきり答えて』
「……どうしたんだ?」
「いや、オレにもあまり……」
「……本当に怒らないのなら、來さんでしょう」
『うん、そっか……やっぱりか……』
この状況で考えられるのは恐らく……。
だとすればトリガーは何だろう。
「……來、ほんとにどうしたんだ?いつもよりもおとなしいというか……」
「何か悪態が少ないな」
「言葉も柔らかいというか」
「というか右目がありますね。誰かのものでもついに抉りとって入れたんですか?」
『はあ?何馬鹿なこと言ってんの?』
「ストーカー(オビト)に対してすごく親しげというか」
『……え?ちょっと待って、ルビおかしくない?』
「イタチ、オレはストーカーじゃない」
「いえ、あれはストーカーですよ」
「どこを見てストーカーじゃないって言えるんだ」
「しかもかなり悪質な」
『……ゑ?』
「記憶喪失でもしているのですか?」
「発狂している訳ではなさそうだしな……」
「チャクラは同じだが」
『いや、ちょっと待って……わたし発狂なんてしてないよ?いや、確かに変人だし気違い染みてはいるけど!……話を整理させて』
オビトがストーカー?
どういうことなの……てかストーカーってどういうことだ、何それすごいたぎるんだけどどうしようやべえごちそうさまです。
「大丈夫か?」
『あー……やっぱしこれ、わたしが別の平行世界に飛ばされてるってことか』
「は?」
『あー、いや、これはわたしのでっかい独り言なんだけどさ。聞いてる限りじゃみんなの見てる普段のわたしと立ち位置ひっくり返ってるっぽいのね。そうとしか説明できない』
「パラレル、って訳ですか」
『その通りだよ、鬼鮫くん。……とまあ冗談はこの辺りにしておいて。状況を把握しておきたいからまず現在の暁メンバーから訊いていこうかな』
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ