It's impossible!!√A

□想起
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【オビトside】


まず來はあれだけ大きなチャクラを持っていたにも関わらず、大蛇丸を含め誰も気づいていなかった以上、あれは感知タイプでもよく見えてはいないのだろう。
その点を考慮すると写輪眼を持つオレの方が探しやすい。
影分身とすり替わったのは雷遁のあのタイミング。
土遁などを使った形跡は見当たらなかった。
……だとすると時空間忍術を使ったのだろう。
大蛇丸に隠して念入りに脱走を練っていたらしい。
時空間忍術で逃げたのだとすれば見つけるのは困難だがあの格好ではろくに飯も食えずすぐに出てくる。
一瞬伝わった、肌を刺すような感触に眼を凝らす。
「(……なるほど、下水か)」
ここは仮にもリゾート地。
道路に近いところから悪臭がするのも嫌う人間も多い。
下水の中もそれなりに綺麗にされていた。
はたして、來はそこにいた。
チャクラの消耗は計算しきれなかったのか、ぐったりと背を壁に凭れかけている。
近寄るがわずかに顔を上げるだけで体が思い通りに動かないらしい。
それでもなお唸りながら仮面の奥から睨みつけているのがわかる。
「……安心しろ、今助けてやる」
そう柄になく呟くとかつぎ上げて神威空間を通って霧隠れに入る。
霧隠れならばこちらの都合がいい。
水影を操っていた際に根城にしていた洞窟に連れ込むと写輪眼で様子を見る。
大量のチャクラが渦巻いている。
色が不自然なことから恐らく封印している何かによるものだろう。
乗っ取りをかけられるのを何とか相殺している。
更に拘束具はチャクラを抑えるものだ。
そのせいでチャクラが大量に体内に蓄積されている。
つまり。
「今外してやる」
手錠に手をかけると神威を発動させる。
カシャン
仮面に手を掛けようとすれば唸りながら手を払われた。
仮面の奥から睨んでいる黒い瞳が見える。
「これで少しは楽になっただろう」
『……あぁ、ありがとう』
聞こえた声はまだあどけなさの残る舌ったらずな声だった。女だったのだ。
から、と外された仮面に來の顔を見つめる。
幼くも見えるし、大人にも見える、不思議な顔。
ところどころ跳ねた黒髪に目尻の方が跳ね上がったまつ毛。
小さな鼻にぷくぷくした頬。
パーツだけならばわりと童顔なはずなのに、いかんせん眼や表情が死んでいるからか、年齢不詳な顔立ちだ。
『……何が目的で助けたのかは知らないが……私をどうするつもりだ』
まるで野良犬が警戒するように睨み付ける様子に手をヒラヒラさせると危害を与えるつもりがないことを伝えた。
「そう警戒するな。大蛇丸の奴に対する嫌がらせみたいなものだ。恐らく、あんなところに出されてはいたが、何かを封印までしているところを見ればそれなりに大切にしていたんだろう。違うか?」
『封印に気づくか……何者だ?』
「オレのことはいい。お前、今自分の中ですごいことになってるのがわかるか?」
『……なんとなく、な。封印からチャクラが流れ込んでくる……拘束具どもにチャクラを抑えるチャクラが流し込まれてたから余計に』
「その通りだ。少し提案がある」
『提案?』
「あの状態であれだけの戦闘ができるぐらいだし、なかなかに頭もよさそうだ。オレの部下になるつもりはないか」
『部下……お前にメリットはあるのか?』
「優秀な部下になることはまず間違いないだろうとオレは踏んでいる」
『……直感ではないか。私のメリットは?』
「オレが大蛇丸の奴から守ってやる。それにチャクラのコントロールの仕方も教えてやろう」
『……本当にそれだけが目的なのか』
「あぁ。オレの部下として真っ当に動いてくれればオレはかまわん」
『……。』
じっ、と見つめるその眼はまるで仮面の中の素顔でも見透かそうとしているかのようであった。
実際、オレの真意を確かめようとしているのは確かだが。
來は1度目を反らすとまたこちらを見つめて言った。
『……まあ、確かに助けてもらったことは事実だからな。それでいいなら、私もそれでいい』
「契約成立だな。よろしく頼む」
『こちらこそ頼む』
來は仮面をかけた。
「?」
『……割とこのデザイン気に入ってるし、チャクラを探知されにくい筈なんだ。だからつけておく』
「そうか。(変な奴だな)」
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