It's impossible!!√A

□想起
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「しかしおかしな話だな」
唐突に告げられた言葉に私は
『何が』
と訊き返す。
ここ数日、大蛇丸からの追っ手と鉢合うことがないのは目の前で書物を読み耽るオビトの逃走ルートが良いからだろう。
オビトは面に一つだけ空いた穴を書物からこちらに向け、話した。
「あいつが何かを封印するなんてよほどのお気に入りな筈だ。それなのにあの場に出されていたのが妙だと思っていた」
『私が原因だからな』
「……?」
『大蛇丸の奴をあそこに行かせる原因を作ったのは私だ。だから出された』
「少し意味がわからないんだが」
『……元々大蛇丸は血継限界の研究をしてるのは流石に知ってるだろ』
「あぁ」
『そのサンプルがことごとく死に絶えたら新しいサンプルが必要になるのはわかるだろ』
「……一体何をしでかしたんだお前」
『いや、直接の原因を作ったのだからあいつも共犯だ。私だけが悪いわけではないぞ、別に』
こちらは殺されるところだったのだから仕方がない。
私はコロシアムに行く道中の大蛇丸との会話を思い出していた。




≪『どこへ連れて行く気だ……まあどうせろくな場所じゃないんだろうがな』
「……元はと言えばあなたが貴重なサンプルの半数以上を殺したのが悪いのよ」
『馬鹿なことを……そんなに大切なものならばしまいこんでいれば良かっただけだ。見せびらかすから壊されるんだ』
「悪いけどコレクターは見せびらかすのも趣味の一つなのよ?挨拶させるだけでこんなことになるなんて思いもしなかった」
『悪いが私は自己防衛のためだけにしたことだ。恨むんなら本気で殺そうとしてきたあいつらの性分を恨め』
「それに関しては悪かったと思ってるわ」
『……最初からそれが目的だっただろう』
「何ですって?」
『あんなに大人数要らなかっただろう?半数以上の捕虜に武器を渡し、素手の私に向かわせるとは……私が死んだら弟でも連れてくるつもりだったのか』
「あら……私はあなたがそう簡単には死なないと思っていたけれど?あなたはいずれ私の器になるんだもの……だから少し"特別なもの"にしてあげてたんじゃない」
『……。』
「そう簡単には殺してあげないわよ?せっかくの貴重な……ふふっ、楽しみにしてるわ」
『どうでもいい。……で、どこに向かってるんだ、この舟』
「これからしばらく島で過ごしてもらうわ」
『何故そうなる。お断りだ』
「あなたこの状況で逃げられるの?」
『……目的はなんだ』
「あなたが殺したサンプルの分を補充するの」
『人身売買か……呆れたな』
「あら?一言もそんなことは言ってないじゃない」
『ではなんだ』
「あなたの"訓練"よ」
『……何?』
「聞こえなかった?」
『意味を訊き返したのがわからんのかボケナス。その耳はお飾りか?なら切り落としても何の問題はあるまいな』
「まあおっかない。……補充の方法は簡単。あなたに向かってくる者を蹴散らす。それだけよ」
『……仮面は無いのか』
「仮面?どんな?」
『そう、だな……鬼の面などがいい。顔を晒すのは気に食わん』
「なら用意してあげる」
『どうせ、闘う相手もろくな奴じゃないんだろうな』
「安心してちょうだい。一対一だから」
『あぁ、それはありがたいな。

……ふざけているのか貴様』
「負けた相手は私のものになるのだから殺しはなしよ」
『私が負けることを考えないのか?』
「負ける訳ないでしょう?」
『ふん、愚問だな』
「私、貴女のそういうところ好きよ?」
『要らん好意を寄せるな死ね』
「釣れないわね」≫



イラッ
「……どうした」
『どうもしていない』
「岩、殴ってるのにか」
『……悪い』
「ところで何を封印されているんだ?」
『さあ……見たことはないからわからないな』
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