It's impossible!!√A

□不羈
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ガリッ、と嫌な音を立てるだけで外れないこの猿ぐつわの感触を來はよく知っていた。
「久しぶりねえ、來?あなた、ずいぶんと逃げ回ってくれたじゃない」
あごを引き、大蛇丸を睨み上げるが大蛇丸には効かない。
目隠しをされ、後ろ手に縛られた手や足だけでなく、首や胴にも鎖が巻きついた状態では何もできないと踏んでのことだ。
こういう時、身を捩れば余計にきつくなることは重々承知している。
「ふふっ、そんなに怯えないでちょうだい。まだ、何もしないわ」
『(怯えてなどいない)』
大蛇丸はニヤリ、と妖しい笑みを浮かべたが目隠しされた來は知らない。
『……!』
不意に右肩のそれ……大蛇丸に付けられた封印を撫でられ肩が跳ね上がった。
と同時に全身を火で撫でられたような感触に襲われた。
『が、っ……!』
「わかった?あなたが動けば痛い目にあうの。まだ完成していなかった薬が完成したばかりなの……あなたは特別なんだから」
痛みを堪えながら俯く。
元々痛みに強い方でないのはわかっている。
内心で舌打ちをしながら大蛇丸の様子を伺う。
「大丈夫。大事な体だもの……傷なんてつけないわ」
『(つまり感覚的な痛みってことか……実質は焼かれたりはしてないってことはチャクラ的なアレか)』
チャクラを完全に封じ込められ、何もできない。
大人しく、唸りながら上がった息を整えていれば大蛇丸が猫なで声で言った。
「いい子ね……早速始めましょうか」
大蛇丸が右腕を掴んだ。
抵抗するつもりがないのを見たからか、いやに掴み方が優しい。
まるで蛇の鱗のように冷えている大蛇丸の手に体温を奪われているような気がして肌が粟立つ。
『(……あぁ、またこれか……)』
針の刺さった感触に奥歯を食い縛る。
「これでいいわ……また少ししたら来てあげる」
注射針を抜き愉しげに言って去っていく大蛇丸が柵を閉めた。
『(……おおかた……痛覚遮断の薬か……)』
來はため息をついた。
大蛇丸の気配に気づいたのは鬼鮫の留守中のことだった。
來にとってはオビトや鬼鮫といった協力者の存在に気づかせたくはなかったから都合がいいと言えば良かった。
しかしやはり力不足で押し負けたことも事実で。
『(く、そ……)』
身体の機能が上書きされていることによって次第に芯から熱を帯びていく身体に來は目を瞑った。
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