It's impossible!!√A

□炯眼
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『鬼鮫の作るご飯は美味いな』
「そ、そうですか……?」
『美味いご飯を作れるっていいな。私にも教えてほしい』
「誰か、作ってあげたい人でも?」
『……鬼鮫って、たまに意地悪だよな。わかってるくせに』
「元々です」
そう笑った鬼鮫だったが急に悪寒がした。
「(とっても嫌な予感がします……!)ちょ、ちょっと買い物思い出したので行ってきますね」
『え?今からか?もうこんな時間だぞ……?』
「あの、タイムセールが……」
『あぁ、そうか……。気をつけていっておいで』
「行ってきます!」
慌ただしくアジトの外に出た鬼鮫はいつもの洞窟にやってきた。
アジトからほんの少し離れたところにあるその洞窟には結界が張ってあった。
「……。」
洞窟の主は不愉快極まりない様子で入ってきた鬼鮫を見た。
「……遅かったな、鬼鮫」
「……お願いなのでそんなに睨まないでもらえますか」
「睨んでなどいない。ただ少しぐらい反省はさせた方がいいかと思ってな」
「怒ってるじゃないですか」
チッ!と鋭い舌打ちをして洞窟の主は月明かりに照らされた。
「アイツは、まだ気づいていないらしいな」
「ええ……オビトさんがここにいることも、私達がオビトさんとこうして会っていることも、來さんは知りません」
「ならいい」
洞窟の闇に写輪眼を揺らめかせ、オビトは呟く。
「……來を苦しめているのはオレだからな……來をこれ以上苦しめる訳にはいかない」
「私達も同意見です。」
ーーーだから、ここにいるんじゃないですか。
鬼鮫の言葉にオビトは口角を上げる。
「……そうだな。……だが來にはそれなりにオレを騙した罪もあるからな……少しばかり心苦しいが、怖がってもらわねばな」
心苦しいという言葉とは裏腹にクックッと愉しげに笑うオビトに鬼鮫は小さくため息をつく。
「(來さんからは初恋拗らせてるとは聞いてましたけど……オビトさんにも聞いたうちは一族らしい一端が見えているというか……
ん?あれ?それじゃ私や角都さんの周りろくな人いないんじゃ?)」
「なんか今割と失礼なこと考えただろう」
「い、いえ!」
「ふん、まあ何でもいい。來にあまり親しくするなよ。流石のオレも鼻持ちならん」
「(なんて面倒くさい)」
「……鬼鮫」
「いえ、何も思ってません」
「よろしい。……まあ來の能力は大体把握している」
「流石は師弟関係ですね」
「誉めたって何も出ないぞ」
「(満更でもなさそう)」
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