It's impossible!!√A

□刻限
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「來、どうする?かなりの数だが」
「ぅ"……あ"ぁぁぁ……?」
不完全な白ゼツが動く度、音を立てて白い何かが粘着性のある液体を引いて地面に剥がれ落ちる。
その様はゾンビを彷彿とさせる。
角都にイタチが続いた。
「確かに、動きは遅いし何もできんかもしれんがこの数だぞ」
「落ち着け。あの程度、どうということはない」
オビトが言った。
「あいつらはカグヤが黒ゼツを封印させまいと造り出した奴らだ……知能はそこまで無さそうだから黒ゼツを刺し留めているナルトの杭を抜くということは考えんだろう。奴らは黒ゼツの周りのあの範囲でしか動かん」
『オビトの言う通りに考えるのが自然だろうな……言葉は通じるんだろうか』
「通じたところでどうにかなりますか、これ?」
『なに、少し興味が湧いただけだ。……私の邪魔をするんだな?なら、もういい……』
來がチャクラを噴出すると禍々しいまでに高められた赤黒いチャクラが來の足元から吹き出した。
足元の地面が軽く抉れ吹き飛ぶ。
「なっ……!?」
「(これが……)」
「(來さんの本気、ですか……!)」
來が紅と白の眼を開いた。
『皆殺しだ。その方が平等かつ話が早い』
「(多分言いたかっただけだな)」
オビトが苦笑を溢していると角都が印を結んだ。
「火遁 頭刻苦!」
ボォッ!
途端に異変に気がついた。
「まあ只者ではないよな……」
角都は苦笑を引き吊らせた。
「技吸い取るとかありかよ」
オビトは呟くと地面を蹴って宙に舞い上がり腰の黒い短刀を手に滑らせると白ゼツの首を続けざまに三つ絶った。
「要するに物理技で勝負、という訳ですね」
鬼鮫も鮫肌を手に白ゼツの群れに突っ込んでいった。
「いや、あいつらはいいが……」
「オレはクナイ投げるしかないぞ」
残った角都は遠隔で地怨虞を使って貫いたり、イタチもとりあえずクナイを投げる。
「ちっ……こいつら無尽蔵に湧いてきやがる……!」
オビトは顔をしかめて悪態を吐きながら切り捨てていく。
「どこが源なのかがわかりませんから、どうしようもありません!」
「イタチにもわからんのか!」
「すまん」
「ちっ」
また舌打ちをしたオビトに同じように白ゼツを吹き飛ばしていた來がいつの間にか後ろに戻って声をかけた。
『全員……下げろ……オビト……!』
來の声に鬼鮫とオビトが振り返ると來は重機関銃の銃口を向けていてギョッとした。
「ら、來!?」
『耳を塞いでいろ』
「おまっ」
オビトが鬼鮫を連れて神威で角都とイタチのところに行く。
二人は來から言われた通り少し離れて耳を覆っていた。
「……っ!?!?おい、オレを守れ……!」
黒ゼツはその明らかに異様な風景を視認して悲鳴にも近い叫びを出すと白ゼツが黒ゼツに前に固まった。
『(そうだ……集まれ……集まって、大きな標的になればこちらも当てやすい)』
ニヤリ、と唇を歪めると來は掛け金を外して引き金を押し続けると同時に銃弾が連続発射される。
「お仕置きの時間……一斉放射……銃身(バレル)……完全犯罪……うっ、頭が」
「角都しっかりしろ!」
「素晴らしい!世界は破滅に満ちている!」
「それと地味にネタバレっぽいのやめろ!」
文字通り蜂の巣と化して木端微塵に砕け散った白ゼツの塊に黒ゼツはわなわなと震えた。
『……まだこの銃身使えるよな……?』
「(ほんとに何者なんだこいつ)」
イタチは來の正体をいよいよ疑った。
しかし黒ゼツも馬鹿ではない。
「(よし、ようやく外れ……)」
杭を外していた。少々遅かったが。
ドッ、と土煙が上がると同時に黒ゼツはようやく解放されたナルトの黒杭をもう一度穿たれた。
「が、はっ……!」
銃剣を装着した小銃を構えて黒ゼツの頭を足で踏みつけながら照準を合わせると來はニッコリと悪魔の笑みを浮かべた。
それはもう、野生の肉食獣が獲物に見せるような、牙を剥き出しにした凶悪な笑みのイメージにも酷似している。
『待たせたな、黒ゼツ』
「ひっ」
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