It's impossible!!√A

□互換
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【オビトside】
パタン
部屋に戻ると來は確認するように小さく呟いた。
『……え、結局付き合ってないって認識でいいの……?』
「あぁ……來は全然オレの方、見向きもしなくてな……」
『え、でもオビトは好きなんでしょ?何で言わないの?』
「いや、言ってる。可愛いな、とか好きだって。でも來にはその気がないのかまっっっったくだ。はぐらかされるだけで全然気づかなかった。おっさんはお呼びでないってか」
『おっさんは関係ないしオビトは大人っぽくて好きだけど』
「今オレのこと好きって言ったか」
『何その反応の速さ怖い。……ふふっ、可愛いー♪』
何が可笑しかったのか、ふわっと笑った來に一気に顔に熱が集中した。
周りに花が散っている気すらするし、なんだか眩しく見える。
こんなに可愛く笑うのか。
同じはずなのに、こうも違うのか。
天使か聖女のように柔らかく、そして慈愛に満ちたその笑顔に言葉が奪われる。
『?……やっぱりまだ慣れない?』
「!いや……そうじゃない」
『そっか。あ、ちなみに最近わたしと何かあったりとかしたら聞いてみてもいい?』
「あー……そういえば"桃太郎って何で桃がモチーフになってるか知ってるか?"って話から"桃って産毛とか筋目から女性や母体だと思われてる"って話したら"セクハラしてるみたいで気持ち悪い"って言われたな……」
『ぶふぉっ!』
ケラケラと來が無邪気に笑う。
先ほどの微笑が美しければ今の爆笑は可愛い。
「……そんなに笑うことじゃないだろ」
『いやこんなん笑うわ!うん、まあ桃太郎の元ネタ的には桃食べて若返った老夫婦がハッスルしちゃったこと知ってると思うし多分大丈夫じゃない?』
「なかなかえげつないこと言うなお前……」
『はっはっはー』
改めて來の顔を見つめる。
普段の來と違う点なんて見れば見るほどない筈なのに、表情だけでこうも変わるか。
……多分、口調やらノリやら主にそういうところが大いに関係しているとは思うが、それでも。
「大体お前も下ネタ言うから言ったってのにその扱いだぞ。酷いだろう」
オレに向かい合うようにオレのベッドに座った來は言った。
『下ネタ言うの?マジか。んー……まあ、そっちのわたしはどうかわからないからあくまでわたしを基準にするけどさ、わたしひねくれてるからあまりそういうの口にしないんだよね。……それ以上にもしかしたら"特別扱い"を"仲間外れ"って認識してる可能性も否めないし』
「……おい冗談だろ」
『で、"仲間外れ"は悲しいと思う。オビトはわたしのこと嫌いなのかな、とか思うかも』
「全部裏目に出てるってことか?どうすりゃいいんだよ……」
『お、落ち着いてよ……多分、好きじゃなかったら四六時中一緒っていうのは説明がつかないから大丈夫だと思うんだけどなあ』
「……そういや來にとってのオレって、何なんだ?」
『え、急に何?』
「何となく、参考までに」
『……そうだな……強いて言えば、飼い主』
「か、飼い主……?」
『そう、例えばわたしが暴走したとしてもオビトがちゃんとリードを持っててくれるから暴走は大体すぐ収まるっていう点で。ちゃんと面倒みてくれるし、オビトのことは信頼してる。だから、敢えて言うなら飼い主』
「へえ」
『……まあ、話聞いてる限りじゃ普段のそっちのわたしは暴走を止めようとしてないあたり、やっぱりわたしとは違うのかな、とは思うけど。オビトのこと、多分わたしみたいに思ってないんじゃない?』
「……発狂した時の箍とでも言えばいいのか……そんなものかもな」
『あー、そういや発狂しちゃった時ってどう?オビトのこと、傷つけたりしてない?』
「そう、だな……噛まれたり、血を舐められたりとかなら」
『え、何それ羨ましい』
「(羨ましい……?)」
『いや、わたし割とオビトの血なら飲めると思うよ。むしろホワイトデーとかで血を混ぜたりなんてされても喜んで食べられる自信はある。ただし自分はやらないし、毛とか食べられないもの入れられちゃったら申し訳ないけど異物混入で捨てるけどね!』
「そういう問題か……?」
『いやー、他の人がどうかとかどうでもいいけどさ?考えてみなよ、細かいことを気にし出したらきりがないよ?汚い汚いって手洗ったとしてもその水すら何なら錆びた水道管通ってきてるからな?空気だって何人もの人間の肺に入ったものだし、動物だって呼吸してるし何ならおならで出されてるものを呼吸に使ってるんだよ?気にし出したらきりがないんだって』
「なんかごめん」
『わたしこそごめん』
「……來は」
『うん?』
「來は……いつもの來とは違うが、でも一緒なんだよな」
『さあ……どうなんだろうね。普段のそっちのわたしをわたしは知らないから何とも言えない。わたしなんかよりもオビトの方がよく知ってるはずだよ』
「……そうか」
『うん』
「……來も、お前のようにいつも笑えるようになるのだろうか」
『さあ?それは試してもらわなきゃわかんないよ』
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