It's impossible!!√A

□灼熱
7ページ/8ページ

『《貴様っ……!いつからその仔に憑いている!》』
「《いつから?そうですねえ……あの小娘に憑いていたのは半年ほど前からでしょうか……ようやく貴方に出会えたので昨日の時点で憑いたのですよ》」
真は腰に下げていた刀に手を掛けてすらりと抜いた。
通常の刀より細い刀身が銀色に輝く。
『チッ……!(まずい!)』
弟の万華鏡写輪眼の能力(淡島神)に自分の万華鏡写輪眼の能力(神夜赭)は太刀打ちできないだろうとはすぐにわかった。
自分が移動しようとしたとしても時止めされてしまえば移動なんてできるはずがない。かつ真の記憶を覗いた時、大蛇丸の視界には入っていなかった。それでも動きは止まっていたことからきっと視界に入っていなくても時止めは有効だろう。
『チッ……!』
「《“時を止める”……なんと便利なものでしょう!主人様(あるじさま)ももう逃しませんよ》」
『……。』
來はカンナカムイと交代した。
『《……儂を恨もうが構わぬ。だがその仔は関係がないだろう。離してやってくれ》』
「《そうはいきません。私は身体がありませんもの。今までだってこうやって色んな人間に憑いて生き永らえて来たのです。……それと何か勘違いしてませんか?私は確かに灼かれる直前、お恨み申し上げてはおりましたが……それはそれ、これはこれです。恨んでなどおりませんよ》」
『《嘘をつけ。ならこれはどういう了見だ!》』
真……もとい、蛇神は笑顔のまま剣撃を繰り出す。
カンッ!カンッ!キィンッ!
來は短剣で応戦する。
『くっ』
「《あの時……私ではなく、あの娘を選びましたね。どこから流れてきたのかもわからぬあの娘を!何故私ではなかったのですか?私でなければ主人様に釣り合いませんのに!》」
『《お前はどこぞのヤンデレな妹御か!》』
「《やんごとなきことは自覚しておりますよ》」
『(意味が違う)』
高笑いをした蛇神は真の万華鏡写輪眼を光らせた。
『(まずい)』
「ふふふ……これで動けるのは私だけ……この娘には死んでもらいましょう」
妖しく笑いながら刀を來に突き立てようとしたその時だった。
ピクッ
「!」
來の指が動いた。
「《な、なにっ!?い……今……
動いた、というのか?》」
一歩後ずさった蛇神は來の片方のみの万華鏡写輪眼を見る。
「《う、動けるわけがない……この静止した時の中で動けるのは私のみ……こいつの能力はたかが移動しかできないはずだ……!》」
その時。
「真!お前、何をしてるんだ!」
「《チッ》」
蛇神はさらに後ろに飛び退ったと同時に淡島神の能力が解ける。
『オビト!?何故来た!』
声の主、オビトは來を庇うようにして真を睨む。
「来るのが遅かったから迎えに来たんだ。何してるんだ、姉弟喧嘩か?」
『《どちらかといえば儂が兄で彼奴は妹のようなものだ。とにかくお前はここに来てはいけない》』
カンナカムイが言うと同時にオビトを避けるように走り出した。
「《逃しませんと申し上げた通りなのですが……かけっことは懐かしいですね!》」
蛇神は地を蹴った。






來は少し開けたところで立ち止まっていた。
「《みーつけた》」
『さてな。お前、真を完全に封じ込めているんだろう?』
「《えぇ、私が表に出ている間はずっと眠っている》」
『《……。お前の望みは娘が死ぬことで中にいる儂を出したいんだったか。残念なことに娘が死ぬと儂は死ぬことになるのだが?》』
「《それはありませんね。少しだけ眠れば身体を元には戻すことは可能にございます。それに私の権能も御身にございましょう?》」
『それにしても私は死ぬ訳にはいかない。弟も返してほしい。何か手立てはないものか』
「《無理ですね。貴方はここで死ぬほかないのですよ》」
『残念なことにそんなこともないんだな』
來は印を結んだ。
「《時よ止まれ!》」
木立を揺らしていた風が消え、空の鳥は羽ばたきを止めた。
静まりかえった時の中で蛇神はクスクスと笑いながら來の背後へと回った。
「《動けるとしても……後ろを振り返るほどのものではないでしょう?今度こそ死になさい!》」
蛇神は刀を來に振り下ろした。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ