It's impossible!!√A

□軌跡
2ページ/7ページ

「……指輪ってどんなのがいいとかあるか」
『突然なんだ、どうした?』
「ほら……やっぱりそういうの送った方が実感湧くだろう?変な虫が一番つかな……あぁ、でもお前の場合幼妻……NTR要素が……!需要が……!」
『?あー……まあ武器として見るんならやっぱりメリケンサック的なアレにできたりあとは毒針とかワイヤーとか……あぁ、糸、いいな……そういう、何か仕込めたりできたら最高だな』
「武器として見るんならって何??結婚指輪にそんな機能求めるな」
絞め殺す気しかないだろ、と呟いたオビトに來は小首を傾げる。
『デザインのことか?』
「まさか指輪を武器の観点で見るとは思わんだろ」
『うん……まあ、無骨な物がいい、かな……鉄とか、黒とか、燻銀とか、あまり光すぎていては光沢を剥がしたくなくて保存に回してしまいそうな気がするし、敵に見つかる』
「お前の意識常に戦場にでもあんの?手袋つけてんだろうが」
『だから光沢をくすませたくないだろ。……だからといって保存したくはない。肌身離さず身につけていたいから。オビトに貰ったものなら、尚更』
「やだちょっとまってオレの嫁可愛すぎない?え無理しんどい」
『だ、大丈夫か?お腹痛いのか?』
「天使か……?」
『しまった、これは頭の方を心配すべきパターンだったか!』
オビトは來にガバッと抱きつくと後頭部に顔を埋めた。
『往来の最中に何をしているんだあなたは!?』
「ちょうど良いとこに頭があったからな。ん、着いたな」
『……装飾屋……?……まさか、本気で指輪でも買う気なのか?』
「うん」
『うん!?』
「なんだ、悪いのか?」
『え、いや、悪い、わけじゃないが……なんか、恥ずかしいな……』
「そんなこと言われるとオレだって緊張するんだが」
『嘘だろ、全然そうは見えないぞ』
「お前、意外とオレがこういうこと慣れてるだとか思ってないか?……あのな、オレはお前のストーカーだぞ?お前が思ってる以上に、その……奥手というか……」
『……そういえばそうだな』
「そういえばってなんだ。警戒してもいいんだぞ?」
『あなた相手に警戒してどうする。……私はあなたには心を許しているんだが。たしかに意地を張ることはあるがあなた相手ではそれも隠しきれる気はしない。私の本心を探り当てられるのも、傍にいて探り当てられて構わないのも、あなただけだ』
「……照れちゃうだろ」
『その反応やめないか。こちらも照れる。……というか奥手なら奥手でストーカーなんてアクティブなことしないと思うんだが……』
「何言ってるんだ。隠れて完璧に大戦前までは気づかなかっただろう?ずっと見てたんだからな……?朝から晩までずっと、ずっと、來の部屋のクローゼットから見てたんだぞ?」
『!?!?』
「大戦終わってからはとりあえず同衾したり、事あるごとに抱きついてみたり、買い出しも後ろを尾けたり……」
『もういい、やめてくれ。気づかなかった私の無防備さはよくわかった』
「だが今はこうして触れ合える……あの時はすぐ払い除けられたりして悲しかったんだぞ?諦めたりなんかしなかったが」
『……。』
「……?來?」
黙った來を不思議に思い、隣の來を見ようとすると繋いでいた手に來がポス、と頭を預けていた。
『……。』
微かに潤んだ瞳が探るように緩く向けられる。
「……。」
多分、抱きしめたいのをオビトに散々言ってきた【人通りの多い道で】だとかそんな理由をつけて躊躇っているのか、とアタリをつけるとオビトは無言で引き寄せて腕の中に閉じ込める。
『……むう』
「なんだ、違うのか?」
『……違わ、ない』
「……驚いたな。急に甘えてくるなんて」
『仕方ないだろう……私、だって……迷惑、なら、……やめる、が』
「迷惑なもんか」
店の前で話し込むのもあれだから、とオビトに促されて店の中に入る。
「いらっしゃいませ」
『ひっ……なんか全体的にキラキラしてる……!』
「お前そんなキャラだったっけ」
『日陰者にはキツいぞ、なかなかの苦行だ』
もうなんか店員さんもキラキラしてるもん、怖い……と呟く來に小さく笑いながらオビトは手を引いて店内を周る。
「何かお探しですか?」
「あ、指輪探してるんですが」
「もしや結婚指輪とか……」
「はい」
「ご要望等ございますか?」
『……なるべく、その、黒っぽい、とか、あの、キラキラしてないのがいいです……』
「(來がめっちゃ挙動不審だ……)」
珍しい……と見下ろす。
「(五影共に対しても結構牙を向いていたあの來が……ん、もしかしてあれ五影共とは何巡もしてる中で何回か話したりしてたからとかか……?)」
「石などは……」
『い、要らないです』
「折角の結婚指輪なのにか?」
『うぐ……』
「嵌め込むこともできますよ」
「見て決めてみないか?」
『わ、わかった……わかったから、その、あの』
「(狼狽える來可愛い)」
「アームがストレートの物、ウェーブの物……奥様は小さな手ですから細い物がおすすめですが、旦那様は大きな手ですからね……」
『いい、あまり細くない方が、いい。……拳を振るった際に割れては、元も子もない、から』
「あ、……あの、お客様」
『……?』
女性店員さんが声を顰めた。
「もしや、人違いでなければ……【今日は暁】のお二人、ですか?」
『!?』
まさかの視聴者さんに來はオビトの後ろに回り込もうとしてやっぱりやめて前に立った。
「し、失礼しました……!あの、ファン、なんです」
『み、見苦しいところを見せた……』
「いえ!あの、後でサイン下さい……!」
二人は顔を見合わせてから声を揃えて快諾した。
「あの、実際に見ると本当に……小さくて、可愛らしいですね……!」
『それは、その、どうもありがとう……?』
「(生のオビ來さん……!)」
「……視聴者さん達の中ではオレ達ってどんな認識なんだろうな……?」
「え、それはもうただただひたすらに押しの強すぎる強面イケメンが小柄男前合法ロリとイチャイチャチュッチュキャピキャピラブラブしてる認識です」
『待ってくれ、イチャイチャチュッチュキャピキャピラブラブなんてしてないだろう』
「こいつに阻止されるからな。ちょっと説得してもらっていいか」
『おい、なんて無茶振りするんだ。……あの、【笑ってはいけない】では男になっていたから……けっこう絵面がむさ苦しかったと思うんだが……』
「もう眼福でした、ぷまいです!」
「ぷま……?」
『というか……何故バレた……?』
「あの、來さんは確かに緊張されてて雰囲気が全然違ったんですが……あの、黒い眼帯してる合法ロリと右側傷だらけの強面イケメンの組み合わせってきたらお二人しか思いつかなかったんですよね……」
『……そんなに見た目幼いか……?』
「「幼いな/ですね」」
『(´・ω・`)』
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ