It's impossible!!√A

□終熄
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『……また木の葉まで来たのだから行きたいところがあるのだが、付き合ってくれるか?』
「ん?もちろんいいぞ?」
湯隠れから歩いて一日半。二人は木の葉隠れに再度訪れていた。
オビトの言葉にありがとう、と返しながら歩く來にオビトがどこ行くんだ、と訊きながら隣を歩く。
『真に連絡した。一緒に先祖参りと行こう』
「先祖参り?墓じゃなくてか?」
不思議そうに眉を顰めたオビトの耳に軽い足取りでこちらに走る音が届く。
『相変わらず、隠すことが苦手な奴だな、まったく……』
小さく笑いながら來が振り返る。
『真、久しぶりだな。元気そうでなによりだ』
「姉さんこそ……!カカシさんに聞いたぞ、結婚するんだってな?なんで言ってくれなかったんだよ」
『いやだから別にもう結婚する訳じゃ……』
オビトを困ったように見上げる來に満更でもなさそうな笑みを口許に浮かぶのを片手で覆って隠す。
「(確実に外堀を埋めていけているな)」
「?ところで結局どこに行くんだ?まだ聞かされていないんだが」
『……南賀ノ神社に行く。あそこに、いるはずだからな』
南賀ノ神社、と聞いてオビトと真はさらに首を傾げる。
「もう無人になっているはずだぞ、あそこは。俺も何度か行ったことはあるが……その口ぶりじゃまるで誰かいるみたいだ」
『普段は姿を見せないようにしているんだろうな。だが、あそこに居るとしか考えられない』
林の中を進み、元うちは一族の集落を抜けて歩く。
「けっこう荒廃してるな。夜に来たらだいぶ雰囲気あるだろうから來が怖がりそうだ」
「(こいつサイコパスなのかな)」
大半殺したのオビトのはずだよな……と胸中で呟きながら真はオビトから一歩遠ざかった。
『真、そんなに怖がらなくても元からサイコストーカーだから気にするな』
「充分気になるし余計にこえーわ。え、姉さんに変なことしたら流石にオレも口出すからな」
ムッ、と來そっくりに唇を尖らせた真を見てオビトが吹き出した。
「え、何」
「いや、ふふ、はははっ……!お前たち、やっぱり姉弟だな……そっくりじゃねえか」
普段は似てないのに、表情そっくりすぎwwwと一人で爆笑して、目尻に浮かんだ涙を拭うオビトに二人とも怪訝そうに片眉を吊り上げた。
「www」
『……ちなみに真』
「ん?」
『私も自分を棚に上げることはしないが、お前も多分他の奴と比べたら重いからな。多分だけど』
「えっ」
『まあオビトに比べたらみんな可愛く思えるだろうけど』
「「えっ」」
『……まあいい、何も言うまい』
オビトを一瞬だけ少し困ったように見上げてから小さく、
『……そんなに好いてくれるのを、少し心苦しくも、嬉しく思ってしまう私も他人のことは言えないだろうしな』
「そういうとこだぞ來」
抱き上げられたことに小さく呻きながら恥ずかしそうにそっぽを向く姉に弟は複雑そうな顔になった。
「(姉さん、素直じゃねえ……)」
「お前の姉ちゃん、ほんと可愛いよな。小っちゃいのに強いとことか素直じゃないとこも全部ひっくるめて好きだぞ」
『ざっけんなよ!!弟の前でこんな恥かかせんじゃねえ!!!』
來の凄まじい怒号が辺りに響く。どれだけ凄まじいかを具体的にいうと辺りの窓ガラスがビリビリと揺れるレベルである。
ついでに來は久々に放電した。某電気鼠の10万ボルトばりに放電した。
「わあ」
死んだ目で痴話喧嘩を眺める弟。
まだ周りをスパークさせながらがるる……!と唸る姉。
すぐに復活して何故か朗らかに笑っているオビト。
端的に言ってカオスである。オレはまだ平和に暮らしたい。この子孫達、早く何とかならないもんか、と密かに頭を抱えたのはオレだけの秘密である。
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