幼馴染み
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「どうしたの?名無しさん。生気を吸い取られた顔をしてる。」
鈍感なヒョナにもわかるぐらい、生気を取られた顔してるのか私。
「本当だな。何かあったの?お前、Tシャツ裏表に着てるの知ってる?」
ジンギにそう言われて、あたしは肩の部分に目を向けた。
なるほど、確かに縫い目がオープンになってる。
「ジンギ、今日スジョンは?」
あたしは二人の問いに一切答えないで、ジンギにそう尋ねた。
「もう来るだろ。」
ジンギは例の『火星☆スパゲッティ』をフォークに巻きつけている。
どうやらお気に入りみたい。
「あたし、ちょっとスジョンに話があるから外で待ってる。」
あたしは上の空で二人にそう言って席を立った。
二人はそんなあたしの様子に首をかしげながら、特に何も言わなかった。
あたしは『ユニーバ』を出て、近くの階段に腰かけた。
街は暗く、きらびやかなネオンを湛え、その中をカップルたちが笑顔を湛えながら軽やかに歩いていく。
一方のあたしは、まるで生気を抜かれた亡霊のようだった。
「何してるの、名無しさん。」
はっとして顔を上げると
、スジョンが目の前に立っていた。
あたしはスジョンがすぐ近くにいることすら気づかなかった。
「生気を吸い取られた顔してるよ。」
「スジョン・・・」
本当に生気を吸い取られたかもしれない。
ドンへの手、いや唇によって。
そう思ったら、途端に足から力が抜けた。
アスファルトの上に、滑るようにしゃがみこんだ。
スジョンの手があたしの肩を強く掴む。
「どうした?何があったの?ソンミンさん・・だっけ?に振られたの?!」
違う、そんなんじゃない。
そんなんじゃなくて、もっと、もっとさ・・・