幼馴染み

□03
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店内は全体的に薄暗く、その中でオレンジ色の淡い光が、ぼんやりと室内を照らしていた。



テーブルでカクテルを揺らす人々は、のんびりと、ゆったりとしていて、適度に聞こえる笑い声だとか、いつも行く居酒屋とは正反対だった。



「ヒョン。」



先頭にいたジンギが、手をあげた。
そこにいた人たちもそれに気付き、片手をあげた。



それを見た途端、心臓が血液をものすごい勢いで送り出した。




やばい、緊張してきたと思った時にはすでに、あたしは引き戸の所に立っていた。



狭い個室に三人、男の人が座っていた。



あたしたちより若干上で、みんなスーツをそばに置き、薄いブルーのワイシャツだとか、真っ白いワイシャツを着ていた。



一人男が多いんじゃないかと思ったけど、彼らは「女子大生だあ」特にと気にする様子もなく、あたしはジンギに促されるまま、一番奥の席に座った。



「まず、お酒頼みましょうか。」



ジンギがそう言って、あたしを目で促す。



あたしはぎょっとしながら、すぐ近くにあったおしながきを、素早く隣に座ったヒョナに渡した。




どうやら、相手の男の人たちはすでに何杯か飲んでいたよう
で、テーブルの上に飲みかけのビールが置いてあった。


おしながきをヒョナに渡してしまったせいで、あたしはヒョナの見ているそれを覗き込むようにして見ていたら、


「どうぞ。」

と、にっこり笑って、前に座っていた男の人がおしながきを渡してくれた。



あたしは少しぎこちなく笑いながらそれを受け取り、急いで飲み物を決めた。



「名無しさん、何にするか決まった?」
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