幼馴染み
□03
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「カシスオレンジ。」
本当なら、一杯目はビールにしたいけど、さすがに合コンで、一杯目からビールなんて頼めない。
あたしは、かわいらしく酒が入っているかどうかもわからない、あたしからすればジュースのようなものを頼んだ。
「じゃあヒョナ、生。」
ヒョナは特に気にする様子もなくそう頼んだ。
ぎょっとしているとヒョナは、顔をしかめて、何?と尋ねてきた。
計算かと思ったけど、ヒョナにこんな高度な計算は無理だったかと思っていると、ヒョナの前にいた人が、思い切り笑っていた。
「きみ、面白いね!女の子で一番初めから生頼むなんて大物だよ。」
しまった、出だしが遅れた。
あたしも生頼めばよかったと思っていると、ヒョナは、
「そういうものなの?」
と首をかしげていた。
ヒョナの天然ぶりに、呆れている内に、あたしの前にはカシスオレンジが、ヒョナの前には中ジョッキが運ばれてきた。
「じゃあ、取りあえず乾杯しますか。」
真ん中にいた、ガタイがいい体育会系の男の人が言った。
「ジンギ、お前、乾杯の音頭取れ。」
「えっ。」
ジンギは少し戸惑った顔をしたが、年
功序列。
先輩の言うことは絶対らしい。
ジンギはしぶしぶ自分の前にあったビールを目の前に掲げた。
それを見ながらあたしも急いでコップを前に掲げた。
前に座っていた男の人と目が合って、にっこり笑ってくれた。
ドキッとして手が震え、カシスオレンジの液体が指を少し濡らした。
「じゃあ、今日の出会いに・・・乾杯!!」
「かんぱーい!!」
ベタな音頭だと思ったけど、余りにジンギが精一杯だったので少し笑ってしまった。
乾杯を終えて、あたしはそのオレンジの液体に口をつけた。
うん、わかってはいたけど、やっぱりお酒の味がしない。