幼馴染み
□08
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「・・・キスした。」
スジョンの細い指に、力が籠もった。
「名無しさん・・」
「え?」
ぼんやりしながら、顔を上げた。
スジョンの瞳がキラキラ、背後のネオンと同じ位輝いていた。
「やったじゃんっ!おめでとうっ!!」
そう言って、スジョンはあたしをぎゅっと抱きしめた。
「私心配してたんだからっ。名無しさん、ドンへくんみたいな超イケメンが、世間一般の男の基準になってるから、あんたがまともな恋愛できるかどうか不安だったのよ!よかった、よかったね!」
そう言って、背中をバシバシ叩く。
その痛みで、次第に頭が正常に戻っていく。
「痛いっ痛いってばっスジョン!」
そう言うと、スジョンは叩くのをやめて、体を離した。
「ああ、ごめんごめん。つい興奮しちゃってさ。」
「あのさ。」
「ん?何?キスのテクニック?それ以上も?いいよ、いいよ、この恋愛マスター・スジョンになんでも聞きなさいっ!」
テ、テクニックっ!
それはそれで興味はあるけど、今度聞くことにする。
それに恋愛マスターじゃなくて、スジョンはエロ女王様だと思う。
「何よ?」
少しためらってると、スジョンはあたしの目をじっと見て次の言葉を急かしてきた。
「ソンミンさんじゃない。」
「は?」
スジョンの目が際限いっぱいまで開いて、あたしを見た。
「違うのスジョン。」
スジョンの目が、理解できないと言っているようだった。
そう。あたしだって理解できない。