幼馴染み
□09
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「行かないでよ。バカ。」
時が止まった。
顔を上げた先に、ドンへが立っていた。
何事もなかったかのような顔で。
「オジサンとバーベキュー?行かないでよ。バカ。」
またあたしは思っていることを口に出してたのか。
がっくりしそうになったが、そうもしてられない。
なんでドンへが、『行かないで』だなんて言うのかわからない。
『ドンへくんは、名無しさんが好き』
スジョンの声が蘇ってくる。
違う違う違う!
ありえないありえない!
「な、ななななんでドンへが、反対するのよ?!」
あたしはなんとか平常心を保とうとしたけど、努力すればするほど、色んなことが空回って、逆に動揺してしまった。
「・・・別に。」
ドンへはただそう言った。
そう言って、黙ってしまった。
ダメだ。
理解できない。
理解しようがない。
この男の常識と、あたしの常識なんて天と地ほど掛け離れている。
決して交わることのない位、掛け離れている。
「あたしが誰とどこへ行こうと、ドンへには関係ないから!」
一回キスした位
で、彼氏ヅラしないでよ!と、言いそうになった。
言いそうになって、堪えた。
これじゃ、逆だ。
さっきのセリフ、あたしが言ってどうするんの。
言われたくないと思ったセリフをあたしが言って、どうすんのっ!
しかも、彼氏ヅラって、あたし、そんなこと思ったのかと、愕然としてしまった。
一瞬でも、ドンへを彼氏のように見てしまった自分に反吐が出そうだった。