幼馴染み

□09
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「ドンへには、関係ないから・・・」



もう一度言った。


ドンへが何も言わないから、沈黙に耐えられなくなった。



キスしてきたことを、怒ろうかと思ってた。


ドンへに会ったら、絶対に文句言ってやろうと思ってた。



けど、そんな気分にならない。

そんな気分になれない。




あたしがバカなら、ドンへは大バカだ。





なんで泣きそうな顔してるのよ。


なんでドンへが、何も言わずに泣きそうな顔してるのよ。




そんな顔されたら、あたしどうしたらいいかわからないじゃん。



どう接したらいいかわからないじゃん。




「・・・なんで何も言わないのよ?」




ドンへはあたしをじっと見ている。

泣きそうな目で、あたしを見てる。



きっとあたしだって同じ位泣きそうな顔している。




鼓動が、聞こえそうだ。




どうしたらいいの?


全く分からない。

どうしたらいいか分からない。




「だって名無しさん、俺がなんか言うと泣くから・・・」




ドンへはぼそぼそっとそう言った。


かぁっと頬が熱くなった。




「だ、だってドンへが泣かせるようなこと言
うから!」



「だから、どうしたらいいかわからない。」




ドンへの大きな手があたしの手首を掴む。

力が強くて、その手を払い除けることができなかった。



「ちょ、ちょっと・・・」



ドンへの顔が近い。

ドンへの髪が、額に触れてくすぐったい。



いつの間にか、間合いは詰められてて、あたしはドンへの射程距離内にいる。



もう片方の空いた手が、あたしの肩に回る。



逃げ場がない。



しまったと思ったときにはもう遅かった。
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