幼馴染み
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「キスしていい?」
ドンへの唇がゆっくりそう動く。
何を考えてるのかなんでこうなってるのか、全くわからない!
「い・・・いやだ。」
「キスしたい。」
「やだっ」
いやだと言っているのに、ドンへは一歩も引かない。
こんなに拒絶してるのに引かないのは、ドンへがエロ大魔王だからなのか。
「キスさせてよ。」
「・・・い、」
「い?」
大嫌い。こんなヤツ。
世界は自分のためにまわってると思っているような、傲慢で、わがままで、生まれながらに王様しているヤツ。
ああ、でも抗えない。抵抗できない。
「・・・いいよ。」
小さく、そう言った。
自分から、そんな言葉が出てくるとは思ってもいなかった。
言った途端、余りに恥ずかしくて後悔した。
後悔したけど、ドンへが嬉しそうに笑ったから、なんだかどうでもよくなってしまった。
「名無しさん、なんか甘いもの食べてたでしょ?」
「・・・え?ああ、さっきアイス食べた・・・」
酸欠の頭は、どうしても上手く考えられない。
なんでドンへはそんなことを言ってくるのか。
「
名無しさん、甘いもの食べないでよ。」
「え?な、何それ・・・」
「俺、甘いもの苦手だって知ってるでしょ?」
知ってる。
知ってるけど、それとこれとどう関係があるのだろう。
それよりも、今何時だろう?
ずっとこんなことしてたら、抜け出せなくなってしまいそう。
「名無しさん、口の中甘いから。」
じゃあ、今度はもっと甘いものを食べよう。
今度?
あたしは次も望んでるの?
どうにかしてる。
『名無しさんも、ドンへくんが好きなのよ。』
わかんない。
キスしてても、よくわからない。
好き?違うよ。嫌い。
あたしはただ、この感触に溺れてるだけかもしれない。
柔らかいこの感触に、溺れてるだけかもしれない。