幼馴染み

□10
3ページ/5ページ

遠くで、ヒョナが笑ってる。


隣りにはカンインさんというガタイのいい、体育会系の人が同じように笑ってる。



ヒョナ、ドンへはいいの?



あの日、ユニーバでヒョナが言った台詞が、今はあたしを問い詰めている。



でもこうやって、きっと人は新しい何かに踏み出していくんだね。



そうして時間が経てば、記憶は風化していく。



気持ちは風化して、今こう考えていることだって、結局忘れてしまう。




ソンミンさんと目が合った。


躊躇なく、彼は微笑む。


にこっと、あたしに向かって、あたしだけに向けて彼は微笑む。



あたしも笑った。



引きつっていないのを願うばかりだけど。




人生では自分でも驚く位モッテモッテになれる『モテ期』が、誰にでも必ず三回はやってくるって聞いたことがある。



もしかしたら、それが今なのかもしれない。



そんなモテ期なんて、名無しさんにもし来たとしてもおばあちゃんになってからだね。とドンへがにやにやしながら言って以来、あたしももしかしたらそうかもしれないと思っていたから。




神はあたしを見捨ててない!!




思わずガッツポーズを取っ
たところに、例の大魔王が現れたのだ。



「何やってんの。名無しさん、ついに頭までおかしくなったの?」



あたしは知らず知らずのうちに、最強の大魔王を召喚してしまったのかと思った。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ