幼馴染み
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遠くで、ヒョナが笑ってる。
隣りにはカンインさんというガタイのいい、体育会系の人が同じように笑ってる。
ヒョナ、ドンへはいいの?
あの日、ユニーバでヒョナが言った台詞が、今はあたしを問い詰めている。
でもこうやって、きっと人は新しい何かに踏み出していくんだね。
そうして時間が経てば、記憶は風化していく。
気持ちは風化して、今こう考えていることだって、結局忘れてしまう。
ソンミンさんと目が合った。
躊躇なく、彼は微笑む。
にこっと、あたしに向かって、あたしだけに向けて彼は微笑む。
あたしも笑った。
引きつっていないのを願うばかりだけど。
人生では自分でも驚く位モッテモッテになれる『モテ期』が、誰にでも必ず三回はやってくるって聞いたことがある。
もしかしたら、それが今なのかもしれない。
そんなモテ期なんて、名無しさんにもし来たとしてもおばあちゃんになってからだね。とドンへがにやにやしながら言って以来、あたしももしかしたらそうかもしれないと思っていたから。
神はあたしを見捨ててない!!
思わずガッツポーズを取っ
たところに、例の大魔王が現れたのだ。
「何やってんの。名無しさん、ついに頭までおかしくなったの?」
あたしは知らず知らずのうちに、最強の大魔王を召喚してしまったのかと思った。