幼馴染み
□03
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駅を出て少し歩くと、ビルがある。
そのビルの3階にある、少しお洒落な居酒屋が今日の合コンの舞台らしい。
「ここ、来るの初めて。」
「あ、何、名無しさん。初めて?」
頷くと、スジョンが笑った。
「何よ。」
「名無しさん、飲み会には無縁そうだもん。」
「悪かったね!」
無縁そうじゃなくて、本当に無縁なんだけど。
正直に言うと、大学に入って行った合コンは一回きり。
今日は記念すべき二回目の合コン。
一回目は、今よりも切実じゃなかったし、何より、ドンへの妨害にあった。
今思い出してもムカツクけど、あたしが名乗ったのと同時に、
「名無しさんって・・・あの名無しさん?!」
と言われたのだった。
しまった、あたしってそんなに有名だったのかしらと、一瞬舞い上がってしまったけど
てっぺんまで飛べたと思ったのもつかの間、
「名無しさんって、ドンへの彼女でしょ?あれ、違う?ああ、下僕?」
そう言われ一気に急降下した。
「え?下僕じゃない?昔ドンへがそんなこと言ってた気がしたんだけど。まあ、いいよそんな
事。とにかく聞いてよ。俺、昔、女取られたんだよ。ドンへに。まじでぶっ殺そうと思ったよ。」
なんで殺してくれなかったのだろうか。
あの野郎。ドンへを殺しても、きっと罪には問われないはず。
「しかもさ、あいつ、一ヶ月も付き合わない内に、ぽいっと捨てやがったんだよ。ねえ、聞いてる?名無しさんちゃん。ねえ、聞いてる?」
そうしてあたしは貴重な夜を、この男の愚痴を聞きながら、ビールを4杯、加えて日本酒を飲みまくってやった。
結果がどうだったとか、そんなことはいちいち言いたくもない。