幼馴染み
□09
1ページ/4ページ
『一回寝た位で、彼女ヅラすんなよな。うぜえんだよ。このブス!』
ボタボタと音を立てて、食べかけのアイスを口から落としてしまった。
冷たいアイスが膝に落ちて、余りの冷たさに皮膚が麻痺する。
けどあたしはそれを払い除けるのも忘れた。
『じゃあなんであんなことするのよぉ。なんでよっ。あたしのこと好きだからじゃなかったの?』
途端に鼓動が跳ね上がる。
跳ね上がるっていうか、もう口から心臓とかさっき食べたアイスとか、色々なものが出てきそうだった。
『バカ言うな。俺がお前を相手にすると思ったのか?ただの暇つぶしだよ。暇つぶし。だってお前、自分のこと鏡で見』
ブツっと音を立てて、ドラマは消えた。
今大人気の超イケメン俳優とやらが出てるから見てたけど、ちょっと過激すぎて見ていられない。
過激っていうかなんていうか、この間のことがフラッシュバックしてきて、心臓がついていかない。
『暇つぶし』
さっきのセリフが頭から離れない。
しかも微妙にそいつとドンへが似ているから嫌になる。
ドンへも暇つぶしだったのかもしれない。
そう思ったら腹が立ってきた。
ヤツとは全然会ってない。
あたしが家にいないようにしてるせいか(大抵ユニーバにいる)ドンへがここに来ないせいか、どっちかわからないけど、とにかくあれ以来会ってない。
そのほうがいい。
だってどんな顔をして会ったらいいかわからない。
全くわからない。
来なくたって、寂しくない。
会わないほうがいい。
気まずいし、そのほうが楽。
あれは無かったことにして、うやむやにしてしまったほうがいい。
向かい合ったら、喧嘩になる。
だったら向かい合わないほうがいい。
だったら・・・
考えれば考えるほど、いやになる。
だったら考えないほうがいい。
明日は、ソンミンさんたちとバーベキュー。
そのことを考えよう。