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□貴方に溺れて5
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<遙の場合>



「おはよう遙、真琴!!」


「おはよう翼」


「おはよう」
学校に着くと下駄箱で翼に会った



「翼今日は遅いんだね」


「寝坊しちゃったへへへ
ん?遙どうしたの?」
遙は下駄箱を開け中を見つめ止まっている



「手紙」


「「 手紙? 」」
真琴と翼2人は顔を見合わせた後遙の下駄箱を覗く



「遙それって!!」


「ラブレター!?」
遙の下駄箱の中には可愛らしい封筒の手紙が入っていた
驚く2人を横に遙はそれを下駄箱から取り出し直ぐに封筒を開ける



「えっここで開けていいの遙!?」


「大切な話があるから放課後教室で待っててくれって」


「それってやっぱり…」


「告白…だよね」
淡々と話す遙とそれを聞いて少し顔が赤くなる関係の無い2人



「面倒くさい」


「えっ遙それは酷いんじゃ…」


「ダメだよ遙!!絶対に行かないとダメ!!
行かないと部活来ても泳がしてあげないからね!!
この子は手紙出すのもすっごく頑張ったんだよ!!
だから話し全部聞いてあげてちゃんと考えてから答えるんだよ!!
分かった!?」


「…分かった」
まだ面倒くさいと思うも翼に強く言われ仕方がなく行くことにした





・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「七瀬くん待っててくれてありがとう」


「話ってなんだ」


「あの…私七瀬くんの事が好きなの!!付き合って下さい!!」
少女は直球に自分の想いを伝えた



「ごめん付き合えない」
翼に言われた通り直ぐに答えず
一回自分の中で考え自問自答した
そして出た答えはやっぱりそれだった


「どうして?好きな人居るの?」


「いや居ない」


「じゃあどうしてダメなの?」


「好きとか良く分からないから」


「分からない?」


「どういう気持が好きとか分からないから
付き合えない付き合っても仕方ない」
からかって言っている様子ではない
本当にそう思っているようでそれが余計に彼女を困惑させた



「なにそれ…
好きって言うのはね
その人の事が気になってずっと考えたり目が行ったり
今日会えるかな話せるかなとか期待してみたり
笑顔が見たいとか手を繋ぎたいとか誰にも渡したくないとか思ったりするの!!」
少女は怒ったように自分が遙に対して思っていることを吐き出す



「そうか…」
少女の言った好きの意味
それを聞き遙は考えこむ



「だから私は七瀬くんにそう思ってるの好きなの」


「ごめん」


「やっぱり好きって分からない?」


「いや今ので分かった
俺は好きなやつがいる」
真剣な顔で少女を見つめながら言い放つ



「えっ」


「そいつの事いつも見てる
毎日会いたいし嬉しそうな笑顔が見たい
手も繋ぎたいし他のやつに渡すなんて絶対に嫌だ」
遙は今確信した自分の好きな人の笑顔を思い出す
その笑顔が別の奴に向けられ他の奴に奪われたとして
自分に向けられなくなるとしたら
そんなの耐えられない



「そっか…私の言葉で気づいちゃったんだ
あー教えてあげるんじゃなかったな…」


「ありがとう」


「振られたのにお礼言われるとか虚しいじゃん…
でも七瀬くんにそんな風に思われてるなんて本当に羨ましいよ
その子の事大好きなんだね」


「ああ好きだ」
遙の告白とお礼に泣きそうになる少女



「俺は好きなんだアイツのことが」
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