Short Story

□ポテチミックス
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ゆーらゆらと揺れる季節外れの赤提灯。



店先の高いところにつり下げられているそれは、風ではなく、人がぶつかったことによって揺れていた。



「あらら、あたっちゃったー」



お菓子を頬張りながら歩く巨大な姿は、正しく大きな赤ちゃん。



そう、この男、紫原敦のことである。



「ちょっと、敦君!まーたお菓子に夢中になって色々あたってるよっ」



「んー、奈緒ちんいいんだよー。避けるのがめんどくさいだけだから」



そして私、白鷺奈緒は彼の幼なじみであったりする。



「もー、学校遅れちゃうよ。急ご!」



「んー」



本当は時間にはまだ余裕があったりする。しかし、今日私達は大事な用事があるのだ。



「ほらっ信号変わっちゃう!敦君急いで!」



「えー、めんどくさい……」



「轢かれたらどうすんのー!死んじゃうよ!」



ぐいぐいと彼のカッターシャツを引っぱれば、案外すんなり横断歩道を渡ってくれた。あら、ちょっと意外。



「ん、えらいえらい。どしたの敦君」



すると何袋目か分からないポテトチップスの袋を開けながら彼が言った。



「だって死んじゃったら奈緒ちんと会えなくなる……」









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