Short Story

□いつだってほんとは
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でも今日だけは私がちゃんと会っても良い日…………なはず。



誕生日の彼の為に朝早く起きて焼いた特製のケーキ。



プレゼントだって、一週間前から毎日デパートをまわり巡って、昨日漸く納得するものが買えたし。



少しだけで良いから、彼の嬉しそうな顔が見たいな。



喜ぶ顔を想像して自然に顔がほころぶ。



すこし寒くなって、街路樹の葉が赤みを帯び出してきた今日この頃。



いい日になるといいな。彼にとっても、私にとっても。



放課後、部活後に渡した方が良いのかな。それとも昼休み?



メールとかした方が良いのかもしれないけれど、ちょっとしたサプライズにもしたい。



そんなことを教室で悶々と考えていたら、木吉くんが話しかけてきた。



「白鷺、そんなに悩むことがあるのか、大丈夫か熱出すぞ」



うん、私知恵熱なんてだしたことないからね。



天然な巨体の彼は意外と繊細でよくこういう風に気遣ってくれる。いい人、でも変人。



「いや、なんでもないよー大丈夫」



木吉くんも今はずっとバスケ一本だもんね。変な気を使わせるわけにはいかないし。



いいや、部活終わるまで待とうかな。図書館この学校遅くまで開いててよかった。



「ん?そうか。まぁいいや。あ、パン買ってこよ」



そう言って去って行く木吉くん。



え?次の授業調理実習じゃあないの?あ、ちょっと待って!



「き、木吉くん!」



慌てて追いかけようと教室をでると、激しく誰かとぶつかってしまった。



勢い余って尻餅をつきそうになる私をぶつかった人が腕を引っぱって助けてくれた。



……て、俊くん!?



なんで彼がこんなところに、と呆気にとられてると何故かぎゅうと抱きしめられた。



「あー、びっくりした。大丈夫?奈緒」



「うん大丈夫。ごめん、前見えてなかった。俊くんこそ、何もない?打撲してない?変なところぐねってない?大丈夫?」



「大丈夫、俺丈夫だから」



「うん、大丈夫そうだね」




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