Book〈黒バス〉

□光と影
2ページ/4ページ

蒸し風呂のような体育館で甲高いホイッスルの音が鳴り響く。

「はい、休憩いれていいわよ!」

監督であるリコの声とともに全員が床に崩れ落ちた。

「うはー、やっと休憩…。」

「死んじゃう、まじ死んじゃうってこれ。」

「み、水ー!」

じたばたする部員たちを見てリコはお疲れ様とほほ笑んだ。

「ところで監督ー、黒子と火神は…」

「ああ、買い出しに行かせたわ。火神くんが遅かった罰。」

「え、なんで黒子も?」

「つ・き・そ・い。」

「はあ?」

日向はリコの言ってることがいまいち理解でき

なかった。

何のために2人で行かせるのか。てか…

「できればつきそいには俺を〜」

日向が思っていたことを小金井が隣でつぶやいて殴られる。

「…ほんとにただの付き添いか?」

日向が言ったのと同時にリコはホイッスルを吹いた。

もちろんリコに今のことばは届かない。

「さ、休憩終わり!ほら、ぐずぐずしない!」

日向はのろのろと立ち上がった。


ガランッ

自販機から出たジュースを拾う。

「ほれ。」

「はい。」

さっきからこのやりとりを何回も繰り返している。

自販機に黒子がお金を入れ火神が取り出し黒子に渡す。

黒子はそれを袋に入れまたお金を…

「…ほれ。」

「はい。」

正直俺は気まずかった。自身の悩みとさっきの黒子の反応。

…何かしたっけか、俺。それとも俺が気にかけてることをコイツも…

「火神くん、これで最後です。」

そう言って黒子はお金を入れる。

「おう…」

…これ以外の会話ねーのかよ!

思わず自分でつっこんだ。そんな自分にもイライラした。


「…火神くん、」

「おお!なんだ!」

帰り道になってやっと黒子から口をひらいた。

思わず俺は待ってましたとばかりに威勢のいい返事をしてしまった。

これじゃ俺がさみしかったみたいじゃねえかよ…。

「頭に、葉っぱが。」

俺はがっかりした。さっき半端にした話でもしてくれるのかと期待したのに…。

「ああ…悪ぃんだけど取ってくれるか?飲み物で手ぇふさがってて…」

「わかりました。…って嫌味ですか?」

黒子の身長に合わせてかがんだつもりだったがどうやらまだ高かったらしく

黒子はむすっとしながら俺の頭に手を伸ばしていた。

「ば、悪気はねえよ!」

そういいながら勢いよくしゃがむと黒子はくすっと笑った。

「知ってますよ。はい、取れました。」

「お、おう。サンキュ。」

また話すことがなくなると俺のイライラが戻ってきた。

俺は耐え切れなくなり切り出した。

「なあ、黒子!」

俺は柄にもなく緊張していた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ