Book〈黒バス〉

□光と影
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「なんですか?」

黒子は振り返ると俺の顔をまっすぐに見た。

「あー、あの、あれだよ!えっと…」

うまくしゃべれねえっ…!

俺は一旦大きく息を吸って、吐いて、心を落ちつけてから

「…お前、何か俺に隠してないか?」

黒子の目をまっすぐに見ながらそう言った。

「えっ…」

意外な反応だった。いつもあまり感情を表に出さないポーカーフェイスで

周りがどれだけ焦っても冷静で。

そんな黒子が今確かに動揺した。

「やっぱりお前何かっ…」

「やめてくださいっ!」

言葉を遮られ俺は何も言えなくなった。

「何も…隠してなんかいません…。火神くんこそおかしいですよ。」

「はあ?俺のどこが…」

「わからないとでも思ってるんですか?」

黒子はさっきよりも強い口調で言った。

「最近変ですよ。みんな気づいてます。ぼーっとしてることが増えたし、 呼びかけても返事が無いことが多いし…。何を一人で抱えてるんですか!」

ブツッと何かが切れたような気がした。

体が熱くてどうしようもない感情が溢れた。

それは紛れもない怒りの感情だった。

一体誰のために…こんなに悩んでると思ってるんだ。

誰のせいで、誰を気遣って…。

「テメェこそ何考えてんだよ!さっきだって勝手に話切りやがって!
 
何でお前が練習に参加してねえのか、なんでお前が俺にそんな顔すんのか

こっちは全然わかんねーんだよ!」

「…っ、もう…いいです」

黒子は俺の手からジュースの袋を1つ奪うと走って体育館へ戻っていった。

「…ったく、なんなんだよ!」

俺は拳を壁に打ち付けた。

痛みも感じないほど、かっとなっていた。


「は?喧嘩した?」

「…はい。」

リコはスコアボードを出しながら怪訝そうな顔をした。

「あのねぇ、黒子くん。何のために2人で買い出しに行かせたと…」

「わぁぁあ!」

リコのことばを遮るように体育館の方から叫び声が聞こえた。

ガシャンと何か重いものが落ちる音も続いて聞こえてきた。

「ちょっと、どうしたの!?」

リコが駆けつけると大分荒れている火神とちらばったジュースと

とにかくあわてる部員たちの姿があった。

「か、火神落着け!!」

「どうした!腹でも痛いのか!」

「腹いたの腹いせ…!!キタコレ!」

「木吉、伊月だあってろおおおおお!!!」

ぎゃーぎゃーとわめく部員をよそに火神はゆらりと体育館の壁まで行くと

倒れるように座り込んだ。

「火神ー!」

「だ、大丈夫かー!!」

「いや、近づくのは危険じゃっ…」

今度はそわそわしだした部員たちにとうとうリコが一喝

「お前らはは黙って練習続けろ!」

そう言い放った。

リコは火神の方へ行き顔を覗き込む。

「え、ちょっと火神くん…落ち込んでる?」

「「「え!!!??」」」という声が全部員から聞こえる。

「いいから練習!」

「さーせーん!」

部員たちは気を利かせたのか単にリコが怖かったのか

離れたところで練習を始めた。

リコは「はあっ」とため息をつくと

「火神くん、黒子くん来なさい。」

そう言って2人を体育館の外へ呼び出した。
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