Book〈黒バス〉
□故意に恋して
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「遥歌先輩、最近元気ですねー」
「え?どこが。いつもと変わらないでしょ。」
つんと返すと後輩はにやにやしながら
遥歌に近づいてくる。
「…な、なによ」
「黄瀬くんのおかげですか?」
「!!」
「あれ、図星?」
「そんなことあるわけないでしょ!毎日しつこくつきまとって、あたしに無駄になついてくるし、でもバスケはあたしよりうまくて、一緒ににると調子狂うし…ホント、頭にくるわ!」
遥歌は後輩の顔をにらみつける。
「せんぱーい…悪いんですけど、」
「?」
「大好きって言ってるようにしか聞こえませんよ?」
「なっ!!」
「いいじゃないですかあ、いつもあんなにストイックなのに恋愛に不器用な先輩、かわいいですよw」
遥歌はさすがにブチ切れた。
「みんなに伝えなさい。あなたのせいで練習は倍よ。」
「えっ!?そ、そんなあ…」
後輩は肩を落として出て行った。
「…何なのよ。」
その日黄瀬は体育館に来なかった。
…あれだけ昨日負かしといて勝ち逃げ?
根性も糞もないわ!!!
そう思う反面、少し寂しい気持ちもある気がした。
「…あんな奴が恋しいなんて、どうかしてるわ。」
遥歌はため息をつくとボールをしまい
帰り支度を始めたのだった。
「…よし、これで今日のミーティングは終わりだ。明日は練習があるからサボんじゃねー…」
バンッと笠松先輩の声を遮り部室の扉があいた。
ミーティングが終わって気を抜いてた部員はそろってびびった。
「…黄瀬いる?」
「その前に言うことあんだろーがあ!!」
そこに立ってたのは遥歌だった。
「え、遥歌っち…」
「あんた、何で昨日来なかったのよ。」
やべえ…超怒ってる…?
「いや、昨日はモデルの仕事が…」
「…そう、ならしょうがないわね。」
あ、思ったより…
「しょうがなかった昨日の分、ちゃんと今日相手しなさいよ。」
怒ってないわけなかったあ…
きつく睨みつける遥歌に俺は
「了解っス」と手を挙げる。
「邪魔して悪かったわね。」
そういって嵐のように遥歌は去って行った。
「…お前がお熱な先輩ってあれか?」
笠松先輩が怪訝そうな顔をする。
「そうっスよ♪かわいいっスよねえ〜
表には出してないっすけど相思相愛っスよ!」
「いやいやいやいや。あの女はお前でも無理だ。俺でも無理だ。」
森山先輩がそう言って首を振るのに
全員が同意した。