Book〈黒バス〉

□故意に恋して
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「憧れてしまえば越えられない。」


「捨てきれないその想いが俺の敗北の理由っス」

わたしは黄瀬の真面目な表情に少しびくりとした。

「遥歌っちもその感情を持つと勝てなくなるような感情を俺に持ってるんじゃないスか?」

勝てなくする感情...

「あー、もう!」

黄瀬は苛立った様子でわたしの腕をつかむ。

「気付いて下さいっス!俺はもう待てないっスよ!!!」

そのとき、後輩に言われた台詞が
頭をよぎる。

『大好きって言ってるようにしか聞こえませんよ?』


嘘...

あたしが?

「...あたしが黄瀬を好きだっていいたいの?」

黄瀬はそう言ったわたしを強く抱き締めた。

「ち、ちょっと!」

「それが答えっスよ。」

「...う、自惚れんじゃないわよ。」

そう言いながらも黄瀬の背中に腕を回していた。

「俺はこれ以外の答えはいらないっスけど?」

わたしは熱くなった顔を黄瀬の服に
うずめる。

「...嫌いにならなきゃ抜けないってことなの?」

「そこまでしても抜きたいって言うならもう、文句は言わないっス。」

「いや、いい...。」

「へ?」

わたしは顔を上げると黄瀬の顔を真っ直ぐに見て言った。

「嫌いになれそうにないからいい。」

「そうスか!それはよかったっス...」

黄瀬はわたしの額に優しくキスをした。
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