Book〈黒バス〉

□光と影
1ページ/4ページ

「僕は影だ」


アイツのことばが時折重みに変わる。

…そんなことアイツは思ってないかもしれねーが、

俺だって自分なりに考えて生きてる。

俺だって…

「火神どうした、練習行かないのか?」

伊月先輩に声をかけられ我に返る。

「あ…ああ、今行く…です。」

俺の不慣れな敬語にふっと笑みをこぼすと

「じゃあ、先行ってるな。」

そう言って小走りで更衣室を出て行った。



「遅いです、火神くん。」

「おわっ!?」

俺が相変わらずぼーっとしながら体育館に出て

いくと急に目の前に黒子が現れた。

…俺の悩みの種が。

「…んだよ、黒子。お前練習は?」

他のメンバーはまだ休憩に入っていない。

バッシュと床のこすれる音と

監督の罵声(って本人に言ったら殺されるな)

がけたたましく響く。

「僕と火神くんは買い出しです。監督命令です。」

「はあ?みんなドリンク持ってんのになんで…」

「火神くんは遅かった罰です。僕は…」

「?」

「いえ、…なんでも。」

そう言うと黒子はそそくさと出口に向かってしまった。

「お、おい!」

俺はその小さな背中を追った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ