Book〈黒バス〉
□光と影
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「僕は影だ」
アイツのことばが時折重みに変わる。
…そんなことアイツは思ってないかもしれねーが、
俺だって自分なりに考えて生きてる。
俺だって…
「火神どうした、練習行かないのか?」
伊月先輩に声をかけられ我に返る。
「あ…ああ、今行く…です。」
俺の不慣れな敬語にふっと笑みをこぼすと
「じゃあ、先行ってるな。」
そう言って小走りで更衣室を出て行った。
「遅いです、火神くん。」
「おわっ!?」
俺が相変わらずぼーっとしながら体育館に出て
いくと急に目の前に黒子が現れた。
…俺の悩みの種が。
「…んだよ、黒子。お前練習は?」
他のメンバーはまだ休憩に入っていない。
バッシュと床のこすれる音と
監督の罵声(って本人に言ったら殺されるな)
がけたたましく響く。
「僕と火神くんは買い出しです。監督命令です。」
「はあ?みんなドリンク持ってんのになんで…」
「火神くんは遅かった罰です。僕は…」
「?」
「いえ、…なんでも。」
そう言うと黒子はそそくさと出口に向かってしまった。
「お、おい!」
俺はその小さな背中を追った。