Book〈黒バス〉
□故意に恋して
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俺には今好きな子がいる。
つんけんしてることが多くて
周りに敵意むき出しで。
クラスで浮いたりしてないだろうかと心配になるくらいだ。
そんな彼女と俺の出逢いは
最悪と言っても過言ではなかった。
俺がバスケ部に入って2ヵ月、
俺は一軍といっても1年生だから
雑用を任されることが多々あった。
その日もはーあ、とため息をつきながら顧問の先生のもとに向かう。
どうやら先輩が用があるらしい。
「自分らで行きゃいいじゃないっスかあ...」
俺が愚痴ってると体育館からバッシュと床のこすれる音がした。
「こっちでもバスケやって...」
興味本意で覗くと女子バスが調度試合をしていた。
「へー...」
うちの学校男バスは強いって聞くけど
女子バスもなかなかやるじゃん...
「きゃーっ///黄瀬くんよ!」
「嘘!本物だ!」
俺が見いってる間に体育館が黄色い悲鳴で包まれる。
げっ...
何か1人いかつい子が...
「ちょっと皆、なんの騒ぎ?」
黄色い悲鳴どころか俺に気付いてすらいないようだ。
「遥歌先輩...」
先輩ってことは年上...
の割には背が低い。
「黄瀬くん...だっけ?」
「あ、すいませんっス。ちょっと見学してて...」
「悪いんだけど、貴方がいると皆集中できないみたいなの。帰ってもらえる?」
「っ...」
そんな言い方...
「少しくらいいいじゃないっスか!」
「貴方みたいな天才と、私達が紙一重だと思わないでよね。」
その言葉は思ったより心に痛い。
俺は黙ってその場を去った。