Book〈黒バス〉

□人事を尽くして救出を待つ!
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「あー、しまい忘れた...」

私は校庭に残された数台のハードル
を見て肩を落とす。

陸上部マネージャーの私は
最後まで残ってコーンとハードルを片付けているところだったが
校庭から遠く離れた体育倉庫にそれを
しまいにいくのは結構大変なのだ。

「やっと終わったと思ったのにい...」

文句を言いながらもハードルを拾うと
歩き出す。

「あ、緑間くん。」

「どうしたのだよ、そんなに一人で
抱えて。」

倉庫の前には彼氏である緑間真太郎
の姿があった。

「陸上部の片付けだけど、緑間くんこそ、こんなとこで何してたの?」

「お前の靴がまだあったから
探しにきたのだよ。」

照れ隠しに眼鏡を上げる姿は
とても可愛い。

「ありがと」

私は緑間くんの背中軽く叩くと
体育倉庫に入った。

「俺も手伝うのだよ。」

「じゃあ、これ奥の棚にお願い!」

「...どれなのだよ。」

「あっちの...あれ?ギブスはここじゃないはず...」

思いの外とまどい、なかなかしまう場所が決まらない。...そのとき


ガチャンッ


嫌な音が聞こえ2人は手を止めた。

「え、今の...」

「まさか...な。」

私が入口に走るとそのまさかだった。

「うっそ、開かないっ...!」

倉庫に内鍵はもちろん付いてない。

「警備員か誰かが閉めたか、風か何かで閉まったか...」

緑間くんは冷静だが私はパニックだった。

どうしよう...閉じ込められた。

「そうだ!緑間くん携帯!」

「鞄は靴箱に置いてきたのだよ。」

「あ、あたしもだ...」

最後の連絡手段が消えた。

時間はもう6:00をまわっている。
これから体育倉庫を誰かが使う可能性は限りなく0に近い。
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