柔らかな月と、銀狼
□下らない日常
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誰しも、気分の乗らない日はあるのではないだろうか。
空がいつもより近いように感じる日、いつもより太陽がまぶしく感じる日、いやに町中の喧騒が耳につく日、目に見えている世界がいつもより色あせて見える日。
麗にとって今日はそんな、どこかイライラと神経を逆なでる日だった。
「あ!おはよう、麗!」
「・・・」
校門を潜った途端、此方に駆けてくる女子生徒が一名。
顔は知っているが、名前が思い出せない。
当たり前のように隣に立ち、姦しく騒ぎ立てられ、麗の眉が寄った。
(五月蝿い・・・)
最近、3年B組の○○先輩が格好いい
某人気アイドルグループの○○様がステキ
全部、興味がないない上に同じような内容でつまらない。
そんなことに同意を求められても・・・と麗の機嫌は下がっていく。
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