科学者の持論

□第四話
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「姉さーん、入ってもいいっスか〜?」


「・・・」




彼女は翌日、無事に十二番隊入りを果たした。



「姉さ〜ん、皆さん揃っちゃってますよ〜?」



ルナに研究員達を引き合わせる為に集める間、彼女専用の部屋を与え、そこで待っているように伝えたのだが・・・


返事が無い。





「ハッ!ま、まさか姉さん屍にっ!?姉s」



「そんな訳あるか!うちが開けたる!退けぇ喜助!」



「ハァ・・・どうでもいいから早くし給えヨ!

 私は暇じゃないんだ!


 さっさと出て来給えヨ!ルナ!!」



「「「「「「「え、今なんと・・・」」」」」」」





「・・・!///」





「五月蝿い奴だな・・・なんだ?マユリ」





「「「「「「「ええぇぇぇえぇぇぇ!!名前呼びぃぃぃ!?」」」」」」」






バン!と扉を開けた彼女は彼女の前にたむろしている人だかりに固まり、ギギギと不自然に首を動かし浦原を探す。



当の浦原は・・・




自分の声には反応を示さずマユリの声に従い部屋から出て来たことにダメージを受け、部屋の隅できのこを生やしてのの字を書いている。




「浦・・・原・・・これは・・・一体・・・?」



「姉さん!」



「「「「「「「・・・どういう関係!?」」」」」」」




周囲の目など気にせず、浦原は掴みかからんばかりの勢いで彼女の前に移動した。




「何してたんスか!?


 まぁそんなことはどうでもいいっスよ何で名前で呼んでくれないんスか!?」



「・・・少し五月蝿いぞ。


 質問は順番にしろ」


「何で名前でマユリさんは呼んでボクのことは呼んでくれないんスか!」




「は・・・?


 マユリはそう呼べと言って来たからだし、お前いつ私に名前で呼んでくれと言った?」



「「「「「「「涅さんがぁぁぁぁ!?」」」」」」」






再び部屋の隅でのの字を書き始めた彼をルナは若干うざったそうに見やった。






「座禅を組んでいた。


 瞑想から戻ったらたまたまマユリが私の名を呼んだから出て来たのだ


 いい加減にしゃきっとせんか!それでも一隊の隊長か!」




あんたが言うか、と全員の心が一つに纏まった瞬間だった。



のっそりと立ち上がった彼はとぼとぼと・・・非常にゆっくりと彼女の隣に移動した。



「えぇー、今回入隊して頂きました坂井ルナサンです。


 姉さんて呼んでますけど本当は彼j」



「長い」



彼の言葉を遮り、彼女が一歩前に出た。




「坂井ルナだ。


 ・・・あー、よろしく頼む。


 私の事は・・・何とでも呼べ」





第一印象:気難しい人




大概がチームワークバラバラで纏まらない研究員の心が見事に一致した。





奇跡だ。





早速ルナに興味を持ったらしい研究員達がルナを質問攻めにしようとしたが、隣から漂う何か不穏なオーラに言葉を飲み込む。




「ルナに近づく奴は殺す・・・ルナに近づく奴は殺すルナに近づく野郎は皆殺しにしてy((ry」





「何をしている。


 気を静めんか馬鹿者め。


 霊圧が煩い。お前は赤子か?それでも隊長か?


 ハッ、本当にそうならある程度霊圧を操ることが出来る子供でもなれるわ」




「・・・(泣)」





浦原<ルナ



此れだけで賞賛を集めてしまうルナが凄いのか、それともそこまで思わせる浦原が凄いのか・・・




「あんた・・・おもろいやっちゃなぁ」


「君は・・・?」


「うちは猿柿ひよ里、十二番隊副隊長、技術開発局室長や!

 特別に先輩って呼ばしたってもええで!」




小さい体でふんぞり返る少女の目線に視線を合わせる為にしゃがんだルナ。



「ほぅ、その歳で副隊長とは感服致す。


 霊圧も落ち着いているし浦原よりも頼り甲斐ありそうな上に実力も伴っていると見た。


 よろしくお願いします、“先輩”」



「あ、あぁ、こちらこそよろしく頼むわ///」




いきなり褒めた上に身長が低く幼い言動故に馬鹿にされがちな彼女を『先輩』と呼ぶ初対面の女に思わず赤面する。


なんせ、パッと見では分からないがルナの顔は眼鏡を除いて完全無欠の美女だ。


綺麗な弧を描く眉に、卵形の骨格。


白い肌は磨き上げた大理石・・・否、誰も踏み入れたことの無い幻想世界を作り出す白き雪。


そんな彼女の頬に掛かるのは濡れた炭。


黒きベールの夜。


漆黒の美しさが、なんとも言いようの無い不思議な気分に陥らせられる。


鈍く光を反射するその邪魔な眼鏡の下にある瞳はどんなに美しいか・・・


見たい見たい見たい―――――







「先輩?


 私の顔に何か付いていますか?」



ニヤリと笑った彼女に、ひよ里はハッと我に返った。



「え・・・ぁ・・・」


「この眼鏡が気になる、かな?」



どこか艶を帯びた妖しい笑みにひよ里だけでなく、何人かの研究員も同じく赤面しコクコクと首を振る。


・・・浦原の視線が痛い。



「残念だが・・・この目を見たことのある者は現在おらん。山本の爺でさえな。


 そして、これからも見せる気は無い。


 ・・・何、世界が今この瞬間に滅びを迎えるというなら、見せてやっても構わんがね?」



口に弧を浮かべる彼女に、ぼ〜っと彼女に惚ける者大多数。




「姉さん〜!!


 何やってんスか!!」


「何?コレといったことは何もしていないが・・・?」




第一印象:気難しい
      ↓撤回
    心臓に悪い・なんかエロい









「「「「「「「一生付いて行きます!姉さん!!!!」」」」」」」
























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