薔薇には茨
□狭間
1ページ/5ページ
「―――――――――」
「―――――――――!!」
何処か遠くで、声がする。
「――――ろ、――――って!」
「起きろ!ローズ!!」
「!?」
突然声がハッキリ聞こえ、ゆっくりと目を開ける。
・・・何も無い真っ白な空間が広がっている。
「?ここは・・・」
何も無くただただ白い空間だというのに・・・妙に、見覚えがある。
「やっと起きたか。ったく、人騒がせな奴だな?」
・・・なにやら男の声が聞こえる気がするが、気のせいだろうか?うむ、気のせいに違いない←
「こっちこっち!!気のせいじゃねー!!」
やっぱり聞こえる。
それも、後ろから。
「君は誰だい?」
振り向いた先には、白い髪に白い目、白い服を着た小麦色の肌をした男が立っていた。
・・・盲目、というわけではないらしい。
「やっぱり覚えてねーか・・・ま、しゃーねーわな。
俺、白―ハク―。一応、この世界の神サマやってるぜ☆」
「ブッ!?」
『オス、おら○空!実は神様やってんだ!』とまぁ脳内変換された白とやらの言葉に、思わず噴いたローズ。
「アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、ヒ〜ヒッヒッヒッヒヒヒヒヒヒヒヒ!!
か、かか神サマ?どこの厨ニだ〜い?
ブヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
「・・・・・・・・・・・・」
確かに、真っ白な世界で真っ白な男だ。顔もいいほうだろう。
・・・しかし、だ。
ドヤ顔で厨ニ発言をされてはいくらなんでも堪らない。
涙目になりながら腹を抱えるローズを見る白はかなり複雑そうだ。
「ヒヒヒ・・・ブフッ・・・フゥ・・・・・・。
君、最高だよォ・・・ヒヒヒ」
「・・・そりゃどーも」
何度か深呼吸してやっと落ち着いたローズは、幾つかの疑問解消に努めることにした。
ここは何処なのか
死んだ筈の自分が何故普通に話をし、動いているのか・・・
「ここは天界?みたいなもんだ。
まぁ、空にある訳じゃねーんだけど・・・取り敢えず、ローズは死んでねーよ♪」
「ン?」
「これを見ろ」と言って白が指を鳴らすと、ローズの前に少し大きめのテレビ?が現れた。
よく見れば、ローズの死に際のシーンのようだ。
トラックのお陰で見事な放物線を描く自分が居る。
誰も、暫く動かなかった。
真っ先に、助けた男の子が駆け寄ってくる。今度はちゃんと、車の陰がないのを確認して、だ。
『お姉ちゃん?お姉ちゃん!!』
ケガは無いようだ。
『お母さん!お姉ちゃんが・・・お医者さん!はやくぅ!』
やはり、子供に向って手を伸ばしていた女性はあの子の母親だったらしい。
携帯で救急車を呼んでいる。
トラックの運転手や何やらが寄ってきて、ローズの体を囲んだ。
『可哀想に・・・まだ若い女の子じゃないか』
ローズの前髪を掻き分け、誰かが顔を覗き込んでいる。
『えぇーっと・・・白魔麗月?珍しい名前やなぁ・・・。
なんや、今日学校の卒業式やて・・・』
鞄を預けた女性が生徒手帳と、スケジュール表を見ていた。
『お姉ちゃん!!
ううぅ・・・僕・・・僕・・・!!』
―――ブツン―――
「・・・」
「こうして、白魔麗月は死亡とされた。
ほんっと、ありえない死に方だな?」
白は片手に持った本を読み上げていた。
「・・・それ、なんだい?」
「ん?これ?これは・・・“ドゥームズディブック”だ♪」
“ドゥームズディブック”という単語に驚いたが、確かにソレっぽい。
しかし、少し大きすぎではないだろうか・・・?
アニメではそんなに大きくなかった筈。
「言っただろ?
ローズは死んでねーの!」
「・・・ちゃんと説明しておくれ」
些細なことではなく、絶対何かある。
外れたことの無い自分の勘が、そう告げていた。
「ローズはなぁ・・・――――だ」
_