薔薇には茨

□狭間
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「―――――――――」



「―――――――――!!」








何処か遠くで、声がする。






「――――ろ、――――って!」




「起きろ!ローズ!!」



「!?」






突然声がハッキリ聞こえ、ゆっくりと目を開ける。





・・・何も無い真っ白な空間が広がっている。






「?ここは・・・」




何も無くただただ白い空間だというのに・・・妙に、見覚えがある。







「やっと起きたか。ったく、人騒がせな奴だな?」






・・・なにやら男の声が聞こえる気がするが、気のせいだろうか?うむ、気のせいに違いない←







「こっちこっち!!気のせいじゃねー!!」







やっぱり聞こえる。



それも、後ろから。





    

「君は誰だい?」







振り向いた先には、白い髪に白い目、白い服を着た小麦色の肌をした男が立っていた。



・・・盲目、というわけではないらしい。







「やっぱり覚えてねーか・・・ま、しゃーねーわな。


 俺、白―ハク―。一応、この世界の神サマやってるぜ☆」




「ブッ!?」







『オス、おら○空!実は神様やってんだ!』とまぁ脳内変換された白とやらの言葉に、思わず噴いたローズ。







「アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、ヒ〜ヒッヒッヒッヒヒヒヒヒヒヒヒ!!


 か、かか神サマ?どこの厨ニだ〜い?


 ブヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」





「・・・・・・・・・・・・」







確かに、真っ白な世界で真っ白な男だ。顔もいいほうだろう。





・・・しかし、だ。


ドヤ顔で厨ニ発言をされてはいくらなんでも堪らない。







涙目になりながら腹を抱えるローズを見る白はかなり複雑そうだ。







「ヒヒヒ・・・ブフッ・・・フゥ・・・・・・。

 君、最高だよォ・・・ヒヒヒ」

 


「・・・そりゃどーも」







何度か深呼吸してやっと落ち着いたローズは、幾つかの疑問解消に努めることにした。





ここは何処なのか


死んだ筈の自分が何故普通に話をし、動いているのか・・・






「ここは天界?みたいなもんだ。


 まぁ、空にある訳じゃねーんだけど・・・取り敢えず、ローズは死んでねーよ♪」





「ン?」





「これを見ろ」と言って白が指を鳴らすと、ローズの前に少し大きめのテレビ?が現れた。



よく見れば、ローズの死に際のシーンのようだ。



トラックのお陰で見事な放物線を描く自分が居る。






誰も、暫く動かなかった。


真っ先に、助けた男の子が駆け寄ってくる。今度はちゃんと、車の陰がないのを確認して、だ。






『お姉ちゃん?お姉ちゃん!!』





ケガは無いようだ。





『お母さん!お姉ちゃんが・・・お医者さん!はやくぅ!』





やはり、子供に向って手を伸ばしていた女性はあの子の母親だったらしい。






携帯で救急車を呼んでいる。




トラックの運転手や何やらが寄ってきて、ローズの体を囲んだ。






『可哀想に・・・まだ若い女の子じゃないか』





ローズの前髪を掻き分け、誰かが顔を覗き込んでいる。




『えぇーっと・・・白魔麗月?珍しい名前やなぁ・・・。


 なんや、今日学校の卒業式やて・・・』




鞄を預けた女性が生徒手帳と、スケジュール表を見ていた。






『お姉ちゃん!!

 ううぅ・・・僕・・・僕・・・!!』









―――ブツン―――












「・・・」


「こうして、白魔麗月は死亡とされた。

 ほんっと、ありえない死に方だな?」











白は片手に持った本を読み上げていた。






「・・・それ、なんだい?」


「ん?これ?これは・・・“ドゥームズディブック”だ♪」




“ドゥームズディブック”という単語に驚いたが、確かにソレっぽい。



しかし、少し大きすぎではないだろうか・・・?





アニメではそんなに大きくなかった筈。






「言っただろ?

 ローズは死んでねーの!」




「・・・ちゃんと説明しておくれ」







些細なことではなく、絶対何かある。



外れたことの無い自分の勘が、そう告げていた。








「ローズはなぁ・・・――――だ」

















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