Der SuehIussel des Mondes

□ピエロなお客
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「ただいま!シスター」


「あら、お帰り

 ・・・やっぱりあったわね♪」


シスターが見ているのは、暁月。


「これ、どーいうことよ」



「ん?

 いやぁ、神のお告げ、的な?

 まぁ、実際体験した方がいいかと思って

 あの滝は“暁月滝”と言って、神剣、暁月が眠っているとされているの。


 並外れた強固な意思を持った者に、その剣は宿ると言われているわ


 16年目にして、やっt」






ピーンポーン・・・






「あ゛、来た。

 玲、私が良いっていうまで、座ってるのよ?」




黒い・・・黒いよシスター・・・

最早座ってねぇと殺すぞに聞こえるよ・・・



「わ、分かった」

「ん、よろs」





バン!





「グーテンターク☆!」



勝手に扉を開けて入ってきた客に、シスターの言葉も忘れ、玲は暁月を抜き、駆け出す・・・。



「玲!」


「そりゃあ、忘れる訳ね」


玲とは思えない程の低い声、ひしひしと伝わる殺気・・・

否、憎悪にも似た感情に、暁月は驚きを隠せない




玲の目の前には、白いスーツに、カボチャパンツのピエロ男。


ピンクの傘を向けて、面白そうに笑っている。




「玲!

 メフィストも、傘下ろしなさい!」


「嫌よ・・・

 こいつからは・・・他よりも濃い、“アイツ”のニオイがする!

 “青焔魔”のニオイだ!

 殺す!!」





グイ!!!




「うひゃあ?!」


振り向けば、自分の尻尾を握るシスター。


「っく!!」


それでも、なおメフィストと呼ばれたおとこに剣を向ければ、尻尾を引っ張られた。


「ぐっ・・・!

 は、放してシスター!

 こんなやつ・・・!!」


「だーっもう!

 だから座ってろって言ったでしょ!」


「愛理寿―アリス―、この子ですね?」


「何故シスターの名前を・・・!」


自分を見下ろす男に、玲はシスターの手を無視して斬りかかった。



「私を殺しますか?」



ニタニタと笑う男に、玲は目を細めた。


「っ・・・!

 こんの・・・腐れ悪魔!
 何でまたこの日に、アイツのニオイを!

 アイツの存在を思い出さなければならない!!!

 殺す・・・殺してやる!」


そう言うと、玲は眼帯に手を伸ばす。


それを見た愛理寿の顔が、一気に焦りで染まった。


「いい加減にしなさい!

 過去は過去。

 それに、コイツは違う!
 貴女の思ってるようなやつじゃないわよ!

 また後悔するの?」


「っるさい!

 今日は・・・今日だけは・・・“彼らに”!
 過去に捧げる日なんだ!

 コイツら悪魔に・・・穢させはしない!!」



叫ぶ玲に、ピエロらしい笑みを浮かべた男。


嫌な予感がする。





「悪魔悪魔とおっしゃいますが・・・

 貴女もそうでしょう?」


「!!」


「黙りなさい!メフィスト!!

 聖水ぶっかけるわよ!


 ・・・玲?」


玲の様子がおかしいことに気付いたシスターが声をかけるが、返事がない。



「・・・・・・・る」


「ハイ?」


「そんなことは・・・私が一番分かってる!」



フードに隠れて見えない玲の顔。


そう言うと、玲は外に駆け出した。



「おやおや・・・」

「こんの・・・アホ毛!」









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