本丸

□御狐バス 恋経由 愛行き 〜お降りの方はお知らせ願います〜(こぎなき♀)
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「・・・なん・・・じゃ、と。使えぬだと・・・?」

「だから、バスではカードなんて使えないんですよ」


普段は絶対に乗らぬバス

だが、今日はなんとなく気になり乗ってみた

こうなるのであれば、いつも通り迎えの車に乗るべきであったか・・・

まさか、カードが使えぬものがあるとは・・・


「では、万札ではどうじゃ」

「うーん・・・悪いんだけど一万円札も両替が出来ないんです。千円札とかないですか?」


どれだけサービスの悪い乗り物じゃ

タクシーなれば使えるのだがな・・・

さて、どうするか

いつまでもバスを止めておるわけにはいくまい

だが、家に連絡をしたところで来るまでには時間がかかるであろう

三条家に取りに来させれば済む話だが・・・

・・・致し方ない

バス会社に三条家から連絡をするか

───チャリン


「・・・これで、二人分。・・・ほら、降りるよ」


誰じゃ・・・?

銀の髪に、金の瞳

口元にはマスク

三条家に取り入ろうとする者か

いや、それはなかろう

良家の娘がバスなんぞに乗るとは思えぬ

それも、私の手を引いて降りるものなどおらぬ


「・・・バス、行ったね。それじゃ」

「待て、バス代を払わねばなるまい。小銭の手持ちはないゆえ、万札で・・・」

「・・・いらない。それより、急いでるから」
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