本丸
□紫君子蘭 《うぐ→つる♀》
1ページ/4ページ
ことの起こりはいつもの帰り道のこと
いつもは友人達と一緒の事が多かったが、この日はたまたま鶴丸と鶯丸と二人だけでの帰宅していた
「それにしても、一期と三日月が付き合うなんてなぁ」
世間話の流れで、二人の幼馴染み兼友人の一期とその恋人 三日月(鶴丸にとっては従姉妹)の話になり鶴丸はため息混じりに呟く
「...取られて悔しいか?」
「へ?俺が?誰を?」
一期だけと知り合いの場合必然的に一期を指すだろうが、三日月は仲の良い従姉妹である為にどちらかすぐに分からず首をかしげた
「一期の事だ。好きだったのだろう?」
「はぃ!?誰情報だ、それ!?」
「結構噂になってたぞ。仲が良いからな」
「なんだよ、それ!?俺が一期を好きだなんて、そんな驚きは冗談でも怖すぎるわ!あり得ねぇ!」
鶴丸は即座に全否定する
一期はその容姿と礼儀正しさから『ロイヤルプリンス』と呼ばれ、女子達の憧れの君であった
誰に対しても分け隔てなく丁寧に接する一期であるが、幼馴染みである気安さ故か鶴丸に対しては他と態度が少し違っていることが多々ある
例えば授業中寝ていれば文字通り叩き起こしたり、悪戯を仕掛ければこれまた容赦なくしばき倒したり...鶴丸曰く雑な扱いであった
本人はまったく思っていないが、それが他者の目には特別な存在にうつるのであろう
「片想いしてるなんて冗談を一期に言ってみろ。きっと笑顔で『鶴丸殿が私を、ですか?正直やめていただきたいですな』だぜ」
一期の物真似を混ぜつつ『それに、俺に対する扱いの悪さと三日月へのあの溺愛ぶりを見たらわかるだろう?』と鶴丸は続けた
「そうか」
「そうだ。俺と一期は単なる幼馴染み兼友人。それ以上でもそれ以下でもない」
「なら、鶴丸。・・・俺と付き合わないか?勿論男女交際として」
「え?」
突如された告白に鶴丸は思考を停止させたのだった