本丸
□蝦夷菊 《光忠♀メイン》
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「長船部長!これはどうでしょうか?」
「うん。いいと思うよ」
「みっちゃーん!味見して欲しいんだけどぉ」
「はいはい、今いくから待ってて。清光くん」
放課後、本丸高校の調理室から甘い香りが広がっていく
本日は部活動は休みの為、部員だけではなく普段帰宅部や他の部活の女子生徒たちで賑わっていた
その為、教えるのも顧問ではなく調理部 部長の光忠である
「ん、美味しい。甘過ぎもなく丁度良いと思うよ。喜んでくれるといいね」
「ありがとね。みっちゃん」
「どういたしまして。さて、三日月さんはどこまでいった?」
清光に菓子の感想を言うと、初心者である三日月のもとへ向かった
「言われた通り材料を混ぜたぞ」
他の生徒と同じくエプロンをつけた三日月がボールの中身を光忠に見せる
「OK♪ あとは型にいれて焼くだけだね」
「うまくできると良いのだが」
「大丈夫!レシピ通りやれば失敗しないから。それに僕もいるしね♪」
「はっはっは、それは頼もしいなぁ」
三日月は神様の依怙贔屓とも思えるぐらい整った容貌に反して豪快に笑った
「よし、もう一踏ん張りするとしよう」
「(もう差し入れを欲しがる気持ちがわかるよね。一期くん)」
いそいそと型を用意する三日月を見守りながら、数年前のことを光忠は思い出す
「ぶ、部長!こっちの粟田口さんお願いします!」
「光忠さぁん!なんか僕のケーキが噴火した」
「はい!?噴火?了解!今行く」