君の名前にアンダーライン
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尾浜先輩を探して食堂に来てみたもののどうやらもう立ち去った後らしい。
うーん…他に居そうなところといっても私は彼とそう仲がいいわけではないから検討もつかない。
どうしたものか。
どうせ教室に行っても呼び出す勇気が出ない。
…いや、そんなことは言っていられない。
とりあえず教室に行こう。
「尾浜?いないけど」
2年い組の教室に行き適当な人を捕まえてきくとにやにやしながらそう言われた。
そのにやにやの意味がわかる分これ以上ここにいたらあおられて終わるのは目に見えている。
「ありがとうございます」
色々なところをさまよってみるがいっこうにみつからない。
時計は昼休みはあと数分で終わる時間を指している。
諦めて帰りに捕まえに行こう。
「美覇ちゃん、捕まえた!」
HRが終わり教室を出ると尾浜先輩に久々知先輩、鉢屋先輩に竹谷先輩までもが勢揃いしていた。
さすがに戸惑い私が後ずさると後ろから誰かが背中を押した。
「お人形はいやなんでしょ」
「ちゃんと自分で伝えた方がいいぞ、美覇」
背中を押したのは喜八郎でその横には滝夜叉丸がいた。
2人の言葉に頷けば2人も頷き返してくれる。
「ここだと少し視線が気になるので中庭でも行きませんか」
私の提案に尾浜先輩はにこりと笑って了承した。
「尾浜先輩、この間はすみませんでした。私、先輩のせいで泣いたわけじゃありません。気にしないでください」
「うん。わかってるよ、気にもしてない。でも元気がない美覇ちゃんを見ているのはツラいんだ」
「だから俺たちと楽しいこと、しよう?」
はい?
そう疑問を投げかける前に両横から腕を捕まれ私は逃げられなくなる。
誰か、喜八郎、滝夜叉丸、この際苦手な次屋くんでもいいから助けて!
私、どうなるんでしょう。
お兄様方は楽しそうに笑っていらっしゃいます。
余計に怖いです。
庄ちゃん、鉢屋先輩と尾浜先輩を止めて。
三治郎くん、虎若くん、竹谷先輩を飼育小屋に戻して。
伊助くん、久々知先輩を豆腐のプールにでもぶちこんできて。
急募この人たちを止められる人。
「…お前ら何をやっている」
あ、麗しき天使が舞い降りてきた。