君の名前にアンダーライン

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「不破先輩!」「不破くん!」


呼ばれっぱなしの当の本人は困ったように笑っている。
教室の中は不破先輩と確か鉢屋先輩(?)と竹谷先輩のファンでごった返している。今日はバレンタインデーか?
クラスの住人は大変迷惑そうな顔をしていた。

この状況で話しかけられようか、いいや話しかけられまい。
先ほど言ったとおりこの教室はかの3人のせいで混雑しているわけだが、弁当や差し入れをしにくる子がどうやら多いみたいだ。
貢がれてるなあー。漫画かよ。


とりあえず出直そう。
そう思い、3階に位置する教室をでて1階おりた自分の教室へと戻った。



「じゃあまた行ってきます」

「いってらっしゃい」


早く行って帰ってこよう。
階段をのぼり始めると、踊場に見知った背中が見えた。



「先輩!」


くるりと彼が私の声に反応して振り返る。


「あの、委員会の連絡なんですけど中在家先輩が来られないので書記の私がかわりにきました」

手に持っていた連絡用のプリントを先輩に手渡し話を始める。

「…というわけで今日の帰りは私と不破先輩が当番ですのでよろしくお願いしま「三郎ー」


誰かが上の階から彼を呼んだ。
私と彼以外ここにはいないので必然的に教室がその階にある彼のこととなる。
三郎?この人は不破雷蔵先輩のはずだ。


「あ、勘右衛門。今雷蔵のかわりにこの子の話きいてるから暇じゃない」

「ふぅーん。雷蔵のかわりに話聞いてあげるなんて三郎偉いね」

「まあね」

「お邪魔しました〜!」

嘘、ちょっと、マジか。
彼は名物コンビのもう片方だ。不覚。

「あの、すみません。人違いでした」


会釈をして私はその場を走り去る。
うわあ恥ずかしい。
風邪を引かぬようにとマスクをしていた私を誉めたい。
身ばれは免れられないにしても、顔は覚えられていないはず。
てかプリント渡したまんまだ。どうしよう。





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