君の名前にアンダーライン

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「ねぇ、きり丸くん」
「はい、なんでしょう?」
「今日私、高野豆腐を食べながら歩いている人と不破先輩のドッペルさんが一緒に歩いているのをみて、高2の先輩うわぁ…って思ったんだけど、どう思う?」
「久々知先輩への反応はあってます。鉢屋先輩は、まあ…ひとの解釈によりますけど」

きり丸くんは頬をかいた。
やっぱり反応に困るのか。
だってあの人絶対顔、いじってるでしょ?!
従兄弟だからって不破先輩言い切ったけど、あの顔でDNA不一致とかおかしいから!
狂気的な愛の結果じゃないの?と私なんかは思ってしまう。

「あれかな、鉢屋先輩不破先輩大好きすぎて同じ顔にしちゃったのかな…こわいわ、愛情が」
「その結論にいたった美覇先輩も充分恐いっす」


今日の帰りは私ときり丸くんが当番で、そう人も来ないので談笑(ここ重要)していた。
きり丸くんは返された本たちを棚に戻すために、図書委員の定位置、カウンターを山積みの本を抱えて抜け出していってしまった。


すると必然的に私は暇になる。
ぼーっとしているとカウンターをはさんだ目の前ににゅっと人影が現れた。

「うわっいつのまに…」
「今のまです」

にこりと笑う彼は私の大好きな庄左ヱ門くんだった。

「庄ちゃん、本借りるの?うわ、難しそうなの借りるのね」


庄ちゃんから本を受け取りバーコードを読み取る。
結構分厚い。


「そうですか?中学生レベルの数学の本ですけど」
「いやー、うーん、数学の本を借りる人って正直珍しいから吃驚した、のが正しいのかな」


たまーに兵太夫くんがものすごく難しそうな絡繰の本借りてくけどね。
あのときも顎はずれそうなくらい驚いた。
は組は実は天才肌なんだと思うよ、私は。

「そうだね、雷蔵も小説しか読んでいるのをみたことないな」

「「!?」」


また気が付かないうちに庄ちゃんの隣に誰かが立っていた。
今度の影は庄ちゃんより幾分か大きい。


「鉢屋先輩!」
「庄左ヱ門は勉強か?えらいな」
「いえ、そんなことないです」


(確か)はちや先輩という先輩は庄ちゃんの頭をぐりぐりとなで回した。
庄ちゃんは照れたように笑う。
可愛いなあ。こんな弟が欲しい。

そんな2人(主に庄ちゃん)を見ながらのほほんとしていると後ろから肩をたたかれた。


「美覇先輩も仕事してください」


手にはすでに先ほど持っていた山積みの本はなく、異国語で書かれた文庫本を1冊持っているきり丸くん。
もう俺の仕事は終わったと言いたいらしい。

「はーい、じゃあカウンターよろしくね」

私はまだカウンターにある山積みの返却された本を担ぎ上げ、カウンターをはなれた。


はちや先輩(仮)に睨まれた気がした。
たぶん、私の自意識過剰が発動しただけだと思うけど。


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私の勝手なあれですが、きり丸はドイツからの帰国子女で両親は今も海外を点々としている設定。
タカ丸くんはイタリアからの帰国子女。けして中の人を意識したつもりではなかったんですがお洒落な国=イタリアだっただけです。
という裏設定。
今思うと謎設定。何を考えてその設定にしたのか謎。 2017.3.7.追記





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